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2011年2月

2011年2月28日 (月)

「イレギュラー」

★★★★☆。
 スポ根ものだと思って読んだらちょっと違っていた。裏表紙には「ダメダメ野球部のむやみに熱い青春ストーリー!!」とある。なるほど高校球児が主体の青春小説には違いない。ただ、そこに水害で避難生活を送る村の人たちのようすがからんできて、物語に奥行きを与えている。かといって社会派というほどでもない。まあ、たんぽぽのお好み焼きではないが、いろいろと混ぜこぜにしておいしく焼き上げました、というところか。涙はないけど笑える。読んでスカッとする。難しいこと考えなくても、小説を読む楽しみというのはそれが一番。
 しかしその一方で、「イレギュラーではボールデッドにならない」という言葉は深い。人生では予測できないことが起こることがままある、いやしょっちゅうある。それにいちいち慌てたり茫然としたりしていたらどんどん取り残されていくだけだ。とにかく素早く気を取り直してボールをつかみ最善と思う方向へ投げる、それしかないのだ。それでだめなら仕方がない。あきらめもつく。人生の要諦だなあ。
 ラストで始まる蜷谷と圭真の練習試合。う~ん、見たい。応援席に陣取って一緒に一喜一憂したい。コーキが投げ矢中が打つ、狭間が投げモウが打つ、ここまで読んできた読者にはもう両軍のベンチがみんな仲間だ。どっちも頑張れ。頭上に広がる真っ青な空が見えるかのようだ。

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2011年2月27日 (日)

東京マラソン

 そういえば今日は東京マラソン。9.8倍の抽選を勝ち抜いた幸運なランナー36000人が走ったそうだ。優勝はエチオピアのメコネン選手。日本人トップになったのは一般参加の埼玉県職員の川内選手。タイムは堂々の2時間8分36秒で世界陸上の代表候補に名乗りを上げた。
 いや、すごい。最近の男子マラソンでこのタイムなら立派なものだ。しかし実業団選手は何やってるんだろうか、とそりゃまあ言われるよな。川内さんは埼玉県の県立高校の定時制の職員で毎日12:45から21:15までの勤務。テレビのニュースではスーツ着てネクタイ締めてデイバックしょって通勤ランニングしているシーンが写ってた。事前にそんなフィルムが用意されていたということはマスコミからはマークされてはいたのだ。というのはともかく、トレーニングになるような走りをしたらとてもスーツにネクタイでは着いてから仕事にならないのではというのが不思議。
 ともあれ、走ったみなさんお疲れさまでした。

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 今日のランニング。12.8 km/88 min。今月の累計距離 113.0 km。

2011年2月26日 (土)

「見習い用心棒」

★★☆☆☆。
 10年以上前のことになるが、この著者の第10回時代小説大賞受賞作「十手人」をぼくはわざわざ単行本で買って読んだ。そしてまずまずおもしろかった記憶がある。それ以来、ずっとご無沙汰していたのを、たまたま名前を思い出して時代小説のシリーズものがあるというので買ってみたのがこれ。そういう経緯があったのでいくらか期待して読んだのだけれど、これが大外れなのだから本選びは難しい。
 まずふらふらしている主人公にちっとも魅力が感じられない。仇討という大願がありながら無節操で金にも女にもだらしない。それで可愛げがあればまだしも、まるで人を惹きつけるところがない。長屋の人々はそれなりに書けているのに、主役がこれではどうしようもない。それから文章がまるで駄目。たとえば303頁の~のだ、~のだの連続。これでプロかい。10年前は少なくともこうではなかったはずなのに、老いて筆力が落ちたか。

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 今日のランニング。12.7 km/88 min。今月の累計距離 100.2 km。

2011年2月25日 (金)

お疲れさま

 月に一度の札響定期の夜は忙しい。コンサートが終わってまっすぐ帰っても、風呂にはいって遅い夕食が終わるともう23時を回っている。それから日付が変わらないうちにブログを書かねばならない。幸いネタはあるけれど、演目が違うとはいえ同じような内容を書くわけにはいかないのでいろいろ工夫が必要だ。などと考えているうちにタイムリミットが迫る。
 今日は、パーカッションの真貝さんの退団というイベントがあったのでその点ラクだ。これで決まり。毎回の定期演奏会を最後に退団する団員が演奏会の最後に紹介されて花束を贈呈される。それが最近はマイクをもたされて挨拶をしたりとだんだん華やかになってきた。真貝さんといえばカスタネットというわけで、今日は本人のカスタネット演奏が披露された。これがまた素晴らしい技量。人気者の最後だけにひときわ大きい拍手喝采。今日のプロはショスタコービッチだったけど、それを食ってたのでは(笑)。

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2011年2月24日 (木)

鹿とビール

 最高気温が9.3 ℃。今日は飲み会があって夜から街中へ出かけたら、車道も歩道もまったく雪がなくて春のよう。つい一ヶ月前にはうんざりするくらいの積雪だったのがウソのようだ。おまけに下り坂の空から降ってくるのは液体のH2Oというから気分はもう3月下旬。まあ我が家の方はまだまだ大雪に埋もれてはいるけれど、季節の歩みは正直だ。雪が融けると何になるという質問に、想定解の水ではなく春になると子供が答えたというできすぎの小話があるが、まあ雪国ならではの都市伝説?だろう。ここ数日、大学のメンストも走ってる人の姿が増えてきた。ぼくもまた学内LANではなくRun再開するかなあ。
 春はやっぱり鹿肉のスモークにビールね(笑)。

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2011年2月23日 (水)

運慶展

 金沢文庫といえばまずは京浜急行の主要駅で、次に名前の由来である鎌倉時代の私設図書館であり、ということしかぼくには思い浮かばないので、神奈川県立金沢文庫という博物館があることを初めて知った。そこで特別展示運慶展を今やっているのをとあるところで目にした。仏師運慶は有名な割には作品が少なく、真作とされているのは十数体しかない。そのうち7体が今回展示されているのだそうだ。むむー、知らなかった。運慶フリークとしてはぜひとも駆けつけたいが、3月6日までではどうしようもない。残念。
 今回の奈良円成寺大日如来坐像、神奈川浄楽寺毘沙門天立像・不動明王立像、神奈川称名寺光明院大威徳明王像、愛知滝山寺帝釈天立像 、栃木光得寺厨子入大日如来坐像、東京真如苑大日如来坐像のうち、ぼくが見たことがあるのは円成寺大日如来と滝山寺帝釈天だけ。神奈川の3体は東京から近いのでいつかぜひとは思っているものの未見だし、光得寺と真如苑のは国立博物館所蔵ということだけどいつ見られるのか知らない。
 運慶といえばなんといっても円成寺大日如来。これは本当にすばらしい。凛とした若々しい青年を思わせる面だちで女性に人気があるのもうなずける。奈良市内からバスで30分以上かかる山の中にあって不便なのだけど、一度だけ行ったことがある。そこの本堂ではなく多宝塔という小さい丸い塔の中にあって外からガラス越しに拝観できる。けど中は暗くて角度的にも見にくい。今回は明るい展示室で広角度から見られるらしいのがうらやましい。この像だけでも十分見に行く価値があると思うよ。品川から快特で35分の金沢文庫駅下車徒歩12分。就活の空き時間にでもぜひどうぞ(笑)。

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2011年2月22日 (火)

「オーデュボンの祈り」

★★★★★。
 あの伊坂幸太郎の処女作ということなので早いうちに読んでおきたいものだと手に取った。一気に読んだ。文句なしの傑作。まず何よりタイトルがすばらしい。オーデュボンとは何だろう?と調べてみる。アメリカの画家・鳥類研究家で、細密な写実画集「アメリカの鳥類」を遺した。いったいそのオーデュボンは何を祈ったのか。それがこのおとぎ話の大きなカギになっている。
 第五回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞したことにはまったく驚かない。驚くのはこれがミステリーとして応募されたということだ。いわゆる既存のミステリーの概念からはまったくはずれている。これはミステリーなのか?と正面切ってきかれたら自信ないが、事件が起こり、謎が解き明かされるからたしかにミステリーではあるのだろう。それとともに、寓話であり社会風刺であり文明批評であり歴史小説であり青春小説でさえある。
 仙台郊外に浮かぶ荻島という孤島での物語。解説の冒頭にシュールということばが出てくるが、大江健三郎でもなく安部公房でもないけれど、もし座標をおくとしたらそういう流れの上にあるだろう。カカシがしゃべる。だけでなく未来を預言する。当然だ。あの禄二郎の念のこもったカカシがしゃべらなかったらその方が不思議だ。それだけで十分シンボリックだけれど、もちろんそれだけに留まらない。荻島の住人のすべてが浮世離れして現実感が希薄だ。たとえば「桜」。警察も裁判所もいらない。だけど妙に安心感がありはしないか。悪い奴が逃げ延びることなくまっとうに処罰される。理由なく理不尽に処罰されることはない。現実世界の「城山」はその対極としておかれている。彼の末路に喝采したのはぼくだけではないだろう。そして、読み終わった誰しもが自分も丘の上の音楽会に参加したいと強く思ったに違いない。力強い未来すら予感させる。すばらしい幕切れだ。
 これが処女作とは恐るべき才能としかいいようがない。これの前には「重力ピエロ」も「ゴールデンスランバー」も色褪せるだろう。もちろんミステリーなんて狭い定義をはずれている、文学としても一級品だと思う。

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2011年2月21日 (月)

棄権

 ごめんなさい。今日は職場の評議員選挙だったのに、うっかり忘れていて無念の棄権。いかんなあ。ぼくは選挙好きで、これまで国政選挙地方選挙はもちろん選挙と名のつくものは必ず投票してきたのに、大記録が途切れてしまったよ。
 朝、注意喚起のメールが流されていて、終了間際には校内放送も流されていたのに、全然気づかないんだからなー。たまたま午前中はベンチワークしていたので、出勤時に確認してから以後は昼過ぎまでメールボクス開けてなかったし、放送案内も実験中に何か放送してるなと気がついたけれど、機器類の騒音で中身が聞き取れてなかった。
 ふだんから大都市圏の投票率の低さに、選挙に参加もしないで政治に文句いう資格などない、と憤慨しているくせにこうだからな。そういえば、先週金曜日の納豆鑑評会の会場のホテルを勘違いしていて、朝別のホテルに出かけ、気づいてあわててタクシーで正しい会場に駆けつけた、というのは内緒にしておいたんだけど、ついでに白状してしまった(笑)。あれもこれも考え合わせるともう老化現象としか弁明のしようがない。とほほ。

2011年2月20日 (日)

排気筒

 横浜国際女子マラソン、尾崎好美優勝。強かったなー。大阪の赤羽を思い出させるような最後のスパートで一気勝負、もうそれで決まり。タイムもよかったけど、大阪とはコンディションが違うからな。ともあれ世界選手権代表内定第一号はまず文句なしだろう。2位の中里もよかった。最後は尾崎においていかれたけどマラソン2回目であのレース運びは評価できる。それに何より笑顔が愛嬌あって可愛い。ひそかに応援していた吉田は残念ながら9位だったけど、あの坂本直子が10位にはいったのは立派。
 先週排雪がはいって表通りはきれいになったけど裏庭まではやってくれないので、今日はまた裏の雪よけ。昨夜の降雪で三角屋根からの落雪が軒先に積り地上1.5mほどにある暖房の排気筒がほとんど埋まりそう。埋まってしまうと火が消えて凍えるか、不完全燃焼で酸欠になるので一大事。なのでそうならないように掘り出す。軒近くまで雪山になっているので、掻きだした雪を外へ出すのはなかなか大変。やらなくてすむ年もあるのに今年はもう3,4回目だ。左が除雪前、右が掘り出した後。

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 今日のランニング。13.6 km/95 min。今月の累計距離 87.5 km。

2011年2月19日 (土)

「利休にたずねよ」

★★★★★。
 名作。この作者は初めて読んだけれど、感心した。秀吉に重用されながら最後には死を賜った千利休の物語。死の寸前から始まって時間がどんどん遡ってゆく構成が斬新だ。普通は発端から説き起こして最後にクライマックスへもっていくというふうに、時系列順にエピソードを並べてゆくものだろうが、本作はまったく逆になっている。読み始めはかなり違和感があったけれどじきに気にならなくなった。そんなことよりも内容のおもしろさ豊かさに取り込まれてしまったせいだろう。
 千利休の美に対する意識というか執念、もとよりそれはよーくわかる。類い稀な感性をもっていて、そのことが秀吉の勘気を被って破局の原因になってしまった、それもよくわかる。秀吉の身勝手はおくとしても、こんな男が身の回りにいたらおそらく耐えられないだろう。ただ、それだけでは頑張っても一級作品にしかならない。本作が超一流なのは、そこに高麗の女性との若き日のエピソードを織り込んだところだろう。物語を通じた重要なキーアイテムとなっている緑釉の小壷とそれにまつわる女の影。冒頭の利休が死を賜ったことなどはほんの瑣末事で、物語全体がその謎を解き明かすために語られていくかのようだ。
 男は一生初恋の女性を思い続けるとか。超一流の粋人である千利休にしてそうなのか、とちょっと親近感がわいてくる。死して利休の魂はどこへ行くか。そう考えたら宮部みゆきの解説がどんなに的外れなものかよくわかる。読み終えてこのすばらしい物語の余韻に浸っている間は、絶対に解説は読まないことをすすめたい。

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 今日のランニング。12.7 km/85 min。今月の累計距離 73.9 km。

2011年2月18日 (金)

納豆鑑評会

 う~む、おそるべき納豆パワー。お茶飲んでもコーヒー飲んでも歯磨きしても口の中から納豆感がなくならない。今日は朝から全国納豆鑑評会。全国から出品された納豆222種を評価して順位つけをする。ホテルの会場に222種の納豆が並んだ様は壮観だったが、さすがに審査員各人が200種以上を見るのは無理なので、30人の審査員を3部門にわけ、それぞれ70-80種を担当するしくみ。ぼくは大粒・中粒部門83点の割当だった。それでも83種は多い。目で見て、匂いをかいで、口に含んで食感を確かめる。延々その繰り返し。実際に食べるのは2,3粒ずつだから、総量にしても200粒くらいのものだけれど、その間1時間半以上にわたって納豆漬けになっているので、終わっても体が糸を引きそう。
 個人的な感覚で判断してよいといわれても、食べ進むにつれ何が何だかわからなくなってくる。多少は個性があるといったって所詮はみんな納豆だし。とてもすべてについて公平な評価は無理な相談だ。高得点を得て受賞した品は、商品に5年間受賞表示ができるのだそうだ。そういえば何とか賞受賞なんて書いてある食品をときたま見かけるけれど、このくらいの評価法で決めているならどんだけのもんかいなという気になる。
 結果発表の写真。携帯でとったので写りが悪くて申し訳ないけれど、壇上右側の人がぼくが学生時代とてもお世話になった1年先輩のHさん。茨城県工業技術センター勤務でいまや押しも押されもせぬ納豆の権威だ。今日の鑑評会にぼくなんぞがよばれたのは彼のお声かかり。よい経験をさせていただきました。そういえば上記鑑評会のリンク先の下の方の審査風景にアップで写ってるのはぼくですってのは内緒ね(笑)。

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2011年2月17日 (木)

「告白」

★★★☆☆。
 恐るべきジコチュー小説。題名にある告白というよりは独白といったほうが正確だろう。事件関係者それぞれの6つのモノローグで全体が構成されている。つくりとしては悪くないと思うし、最初の教師森口悠子の章の改行が少なく畳みかけるような筆の進め方は、衝撃的な内容とあいまって非常に印象的だ。ぐいぐい引き込まれる。
 ただ、最初だけ。読み進むにつれだんだん暗~い気持ちになる。幼い娘を中学生AとBの2人に殺された森口がその復讐をするという筋書きも心温まるものではないけれど、それより何より気色悪いのは、登場人物それぞれが全く自分のことしか考えていないことだ。他人の立場に立って思いやるとかそういう心づかいが皆無。それぞれがてんでんばらばらに自分の世界を独白している。しかもそれが被害者である森口と殺された娘、加害者である少年Aとそれを捨てた母、少年Bとそれを溺愛する母の3組のいずれも母と子だ。これはもう異常としかいえない。
 ねじまがった家族愛。その中だけで完結していて、外界と隔絶している。そしてやることなすことが陰湿だ。女子供なんていう軽薄なくくり方は嫌いだけど、全体がそういうイメージで統一されている。全編を通じて父親を代表とする大人の男の存在感がまるで希薄なせいだろう。誤解を恐れずにいえば、女はこわい~という女性的小説だと思う。
 帯には「衝撃的なラスト」なんてあるけれど、いっそ関係者全部集めて爆死させてしまいたいとぼくは思った。それくらい気色悪い。好き嫌いは別として、そういうものすべてひっくるめた強い印象を与えるのが創作者の技量だというなら、たしかに小説の力なのかもしれない。それで本屋大賞なのか。でも技巧的にいかにすぐれていようと読後感の悪い作品をぼくは評価しない。

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2011年2月16日 (水)

1人1社制

 「高校生就職、続く厳冬」のニュース。今春卒業予定で就職を希望している高校生の内定率が昨年末で77.9%だったという。昨年より3.1ポイント上昇したもののまだ低い水準とのこと。北陸3県がベストスリーでいずれも90%を越えているのに、低い沖縄や北海道は50-60%台とか。まあそれはそれでいろいろ理由はあるのだろうけれど、驚いたのが「1人1社制」ルール。なんでも高校生の就活は解禁日からある特定時期(県によって違う)までは、1人が1社にしか応募できないのだそうだ。そこで採用されなかったら次の会社に応募できる。なんでそんなルールがあるかというと、高校生は授業や学校の活動をしながら就活しているので、多くの企業に応募すると高校生活が成り立たなくなるからだという。
 えっ!大学生活は、大学院生活は、成り立たなくてもいいんかい?高校は義務教育、じゃないよな、どこが違うっていうんだろうか。知らなかった。そんな実例があるのに大学はなんで怒らないのだろう。みすみす教育機会の減失を放置しているようなものだものな、ってぼくも怒らなきゃだめなんだよな。
 たまたま今日午後にHop-Station(パイオニア人材育成ステーション)のシンポジウムがあった。これは博士課程学生やポスドク生に企業のインターンシップを体験してもらい、民間企業へのキャリアパスの道筋をつくろうというプログラムの一環で、関連する会社や大学、文科省の関係者の講演と、実際にインターンシップを経験した人の報告が内容だ。特に博士課程院生、博士研究員の体験談が面白かった。学部や修士院生の就活はまだいいのであって、博士の場合、いつどうやって就活するかのノウハウがない。リクナビが機能しない、そもそも出会いの場がない、という切実な声にはなるほどと思う。人数が少ないせいでシステムがないのだ。何十社も掛け持ちして走りまわっている修士院生も大変だとは思うけど、えらい違いだ。そういう意味で企業と博士院生のマッチングの場を設けるこのプログラムの意義は大きいだろう。ただし、所詮は国の丸抱えの時限付き予算だから、長期的展望としてどうなのかという点はいささか心配だけど。科学技術立国とはいったいどこの国のことなのだろうか。

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2011年2月15日 (火)

3人乗り自転車

 昨夜から今朝にかけて東京で雪が降ったと大騒ぎしていた。積雪が2cmを越えるのは何年ぶりだとか。朝のニュースもその話ばかり。まあそのくらいで騒いでいるだけなら平和でいいことだけど、痛ましいニュースも。今日午前、子供を自転車の前後に乗せて3人乗りで幼稚園へ向かう母親が坂道で雪で滑って転倒、5歳の女児が投げ出されて後続の車に轢かれて重傷を負った。雪道といっても凍結していたわけではないだろうから、ハンドルをとられたんだろうな。ちょっとくらい大丈夫だと思ったのだろうけど、3人乗りは危ないよ。
 とても他人事とは思えないのは、うちの上の娘(双子)が小さかった頃、当時車の免許をもってなかった嫁さんがよくこの3人乗りで近所のスーパーに買い物に行っていたからだ。あんた危ないよ、と近所の人によく注意されたという。そう言われても好き好んでしているわけじゃなく、それなりの事情があるのだから仕方ない。とはいえ、動いたりしゃべったりする大きな重りを前後に積載して女手で自転車を運転するのは普通の道でも大変だ。ましてや雪の残る下り坂なんて。今さらいっても遅いけど、せめて押して歩くとかできなかったのだろうか。
 一昨年に道交法が改正されて3人乗り自転車が認可され、子供を2人乗せても安全な自転車が開発されているというニュースを見たことがあるが、どれくらい普及しているのだろうか。啓発活動しているサイトもあるけれど、特殊で高価な自転車ではなかなか手が出ないのでこういう手軽なチャイルドシートに頼ってしまうのだろうな。くれぐれも安全運転でお願いしますね。

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2011年2月14日 (月)

「ICO-霧の城-」

★★★☆☆。
 だいたいが文庫の帯ほど信用できないものはないが、「著者渾身のエンターテインメント!」には著者も赤面するのでは。この人はこういう異境物ファンタジーをいくつか書いていて、どれもそれなりにおもしろいけれど、これはちょっとなあ。元々はプレステ用のゲーム「ICO」で、それに惚れ込んだ著者がノベライズしたものということなので、いかな宮部みゆきといっても限界があるのかも。
 少年が霧の城へ乗り込んでいって、黒魔道と闘い姫を助け出すという絵に描いたようなストーリー。ぼくはコンピューターゲームはまったくやらないので、テレビゲームというと初代ファミコンしか知らないほど無知なのだが、ゲームならばこそ迷路のような城内を行きつ戻りつしたり、秘密のカギとか武器を探したりするのだろう。その自発的に参加する部分が小説になるとなくなってしまうのが平板な印象の原因だろうか。
 中盤の回想部分、騎士だの導師だの魔道だのが出てくるところはグイン・サーガを読んでいるよう。良くいえばなつかしいけれど、悪くいえばあの超大作の焼き直しというか二番煎じ。まあこのへんも原作があるのだから仕方ないのだけれど。
 それともう一つ、主人公のイコが幼なすぎる。生贄として村に幽閉されているときは、わりとしっかりした少年という感じだったのに、後半のヨルダを救って逃げまどうあたりの会話はまるで駄々をこねている子供だ。違和感ありまくり。ファザコンのヨルダはまだ許容だけど、これがあの少年少女を書かせたら天下一品の宮部みゆきかと首をかしげてしまう。こんな寄り道してないでドリームバスターの続きを早く読みたいんだけど...。

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2011年2月13日 (日)

鍛練

 軍隊じゃあるまいし死語か、そうでも思わなきゃやってられない。とにかく寒かった。なんでこんな思いをせねばならぬのか。刻苦勉励、艱難辛苦、臥薪嘗胆、そんな言葉ばかりが思い浮かぶ。気温もともかく刺すような風が冷たい。おまけに路面は必殺タウンシューズでもツルツル滑るし。肉体的というよりは精神的なトレーニングだなこれは。確かに辛い。だけど、ウルトラマラソンの後半のあの辛さを思い出したら、こんなものどれほどのことだろうかとは思う。がんばれる。なんだかなあ。レースで楽をするためにこそ苦しい練習を耐えられるはずなのに、これでは逆だよ。それでも時折雲間から日がのぞくと心なしか暖かい気がする。太陽のありがたみ。北風と太陽の寓話じゃないけどつくづく感じ入る。こういうときばかりは、お日さまのような人間になりたいと心から思う。
 走り終わってデータ整理。どうもここのところGarminのTraining Centerのデータがおかしい。先日ANT Agentをアップデート(2.2.13)してからのような気がする。ログの所要時間にauto pauseのロスタイムが反映されなくなって総所要時間が延びている。なのでGPS上の実走行時間とPC上の時間がずれていて気持ち悪い。試しにANT Agentを消去して古いバージョン(2.2.9)をインストールしなおしてみたらちゃんと直った。これバグだよな。まったくGariminは油断ならん。

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 今日のランニング。11.9 km/85 min。今月の累計距離 61.2 km。

2011年2月12日 (土)

「グラスホッパー」

★★★★☆。
 なんといっても表紙カバーの写真が秀逸。一昔前のノスタルジックな地方都市の駅風景。ところが中央のホームに停車しているのはよく見ると近代的なゲンコツ型先頭車の特急車両だ。架線がないから気動車だとするとこの形はJR北海道にしかない。特急が止まる非電化区間の地方の地平駅でそれなりに駅前にはビルもある街。正解は釧路だろう。跨線橋が見えないので地下道でホーム間を連絡しているところも合っているし。見れば見るほどいい味出してるなあこの写真。作品とは何も関係ないのに。でもこのカバーだけで★一つ追加だ(笑)。
 闇企業フロイラインの社長の馬鹿息子に妻を殺された鈴木が復讐のためにその会社にはいりこんだはいいものの、あまりに無防備で抜けているために、殺し屋同士の主導権争いに巻き込まれていく、という荒っぽくいえばそんな筋書き。鈴木と鯨、蟬という2人の殺し屋のそれぞれの動静が交互につづられて行き、だんだんと収束してゆくというよくあるパターン。ストーリーそのものはどうってことないが、殺し屋にも業界があっていろいろなプロがいたり、争ったりするところがおかしい。
 個人的には自殺屋の鯨が印象的。人の心のスキをついて自発的な死に追い込む。依頼者でもない人間が成り行きで納得して自死してゆく。誰しもがもつ心の深淵がこわい。こわいといえば、一番不気味なのは槿だろうな。これをあさがおとは読めないけど。彼ら一匹狼に比べれば、比与子、寺原を含めフロイラインの連中など甘ちゃんとしかいいようがない。
 ミステリーではもちろんないし、ハードボイルドというほどでもないし、結局何が言いたいのかわからない小説だ。殺し殺されるシーンもたくさんあるけれど、不思議と読後感は悪くない。この作者の書くものって、変な言い方だけど「お行儀がいい」のだよなと思う。だからすんなり抵抗感なく読めてしまう。アベレージヒッターみたいな。

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 今日のランニング。16.5 km/118 min。今月の累計距離 49.3 km。

2011年2月11日 (金)

タウンシューズ

 先週、ふつうのランニングシューズで走ってすてんと転んだので、これはいかんとスノトレを買いにゼビオへ行った。棚にずらりと並んでいるそれっぽいシューズはみんなタウンシューズという分類がされていて、あれれ。タウンシューズってなんだい。こんなシューズで街歩けるかよ。スノトレというコーナーもあったけれど、数が少なくサイズも品切れが多い。もうこの時期だからそれは仕方ないかな。しようがないので見かけはスノトレっぽいアディダスのタウンシューズを買ってきた。多少釈然としないけど、バスティなおねえさんが今なら特別クーポン券が使えまーすと1000円割引いてくれたのでまあいいか(笑)。
 さっそく履いて走ってみる。昨日新雪が積もって先週とは路面が違うので直接の比較にはならないが、とりあえず今日は転ばなかった。しかしソールが硬いな。雪面ならまだいいけれどアスファルト面なんてビンビンと足に響く。クッション性重視のランニングシューズとは違ってなんせタウンシューズだからいたしかたないか。それ以外はまあまあ。最初は少し違和感があったけれど、1時間も走っていると足になじんで心地よくなった。
 後からちょっと調べてみたら、スノトレというのはアシックスの登録商標なのだそうだ。なーんだ。じゃ他社製品は実質的には同じでもみんなタウンシューズなわけだ。もっといいネーミングないんかいと思わないでもないけど、とりあえず納得。よしこれで月間100キロを目指すぞ。

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 今日のランニング。11.6 km/84 min。今月の累計距離 32.8 km。

2011年2月10日 (木)

3ヶ月後には...

 3ヶ月ぶりの歯科定期検診。前回11月のときに、次の予約は2月のいつがいいですかときかれて、2月なんていつの話だどうなってるか全然わかんないよとか思ってたのが、過ぎてみればあっという間。どうなることやらと思っていた年会申込みも国際学会も学位論文も修士論文もみんな大過なく終わってしまった。案ずるより産むが易しとはよく言ったものだ。こうやって泥縄で何とかなるものだからいつまで経っても計画性が身に着かないのだよな、きっと。
 診療台に座って背もたれを倒すと全身が弛緩して睡魔が襲ってくる。何も考えず口を開けてボーっとしていればいいのだからラクなことこのうえない。毎日でも通いたいくらいだ。あのイスってほんとに人間工学的にうまくできているよなあ。快適すぎる。うちにもひとつほしいといつも思う。歯間ブラシとフロスで歯と歯の間をちゃんときれいにしてくださいね、といつものように言われ、はいはいと終了。
 料金精算してから、では次回の予約は5月の....。ああもう5月かい。その頃にはとっくに雪が解けて外を走り回って(犬か?)、何もかもが好転しているといいなあ。なーんて、きっと全然変わらないまますぐになってしまうのだろうな(笑)。

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2011年2月 9日 (水)

妻は象より強い?

 昔、象が踏んでも壊れない筆入れというのがあった。今の携帯は簡単に壊れるからな。それにしても「妻が踏んで壊した」は笑える。自分で踏んだら証拠隠滅だけど妻なら不可抗力になるのだろうか。もっとも筐体を破壊してもメモリチップが無事ならデータ吸い出しは可能らしいけど。機種変更したのでないというのもあったけど、今は変更しても巻き取りされないから手元にあるはず。レアメタル回収に協力する人が増えたのかな。
 そうやってなんだかんだと提出を拒むこと自体がクロの印象を深めるだけだ。潔白ならすんなり差し出せばいいのだから。もちろん携帯の履歴はプライベートなものだから、他に差し障りのあることが出てきたりしたら困るかもしれないが。だいたいがそもその発端が野球賭博捜査でついでに発覚したものだからな。前にも書いたけど犯罪にはならないのに文科省に注進したおせっかいな警察も罪なことをしたものだ。
 もちろん携帯の交信履歴がないからって八百長をやってないかといったらこれは別問題。それで全力士の聞き取り調査を開始したそうだが、その際に「怒らないから正直に言ってね」と言っといて、いざ告白したら怒るというバカ親の常套手段を使ってはだめだ。正直者が馬鹿を見るというのでは誰も真実を話さないだろうさ。処分は平等でなければならないとすると、意味のない携帯調べも聴き取りもやめて、いっそすべては水に流してやり直すしかないのでは。
 すでに名前が出て自白してしまっている4人は気の毒だけどスケープゴートになってもらうしかないかな。ぼくはそれも必要ないと思うけど、自分が正義だと勘違いしているマスコミを代表とする世間という得体のしれないものは、何らかの生贄がないと納得しないだろう。

2011年2月 8日 (火)

「やる気のない刺客」

★★★★☆。
 町医北村宗哲ものの第2作。前作を読んでからかなり経っているのでよくおぼえていなかったが、そういう人のためにこれまでのあらすじが作中に語られるので思い出した。物のはずみでやくざの親分の息子を殺してしまい、追われて逃げ回り、最後は開き直って闘い相手を逆に引退に追い込んだというヒーローが主人公。そうだそうだ、似たような境遇をたどる別シリーズの啓順ものとそっくりで、啓順の後日の姿が宗哲ではないかといわれているくらい。今はすっかり足を洗って町医に納まっているが、そういう前歴なもので、その筋からいろいろと係わりを持ち込まれる。本人は、もう関係ないのだからと迷惑がっているポーズをとってはいるものの、やはり好奇心の虫が抑えきれずについ首を突っ込んでしまうという筋書き。1話1話読み切りの短篇がゆるくつながっていて、ひとつの物語の流れになっている。
 相変わらずの佐藤雅美というべきだろう。前にも書いたけどいくつかあるこの作者のシリーズものはどれもおもしろい。主人公の人柄がよく似ていてついごっちゃになるのも同じ。同じシリーズだけ読み続けるならまだしも、文庫化される順番に読むものだからそれぞれ主人公も設定も微妙に異なるものを続けて読むことになり混乱する。まあどれも似たような話なので実害はないけれど。すぐに手下やら仲間やらとの話に酒を飲みに行きたがるところも同じだ。この作では砂場という蕎麦屋が行きつけで、蕎麦の種物を肴に二合徳利を傾けるシーンが頻繁に出てきて喉が鳴る(笑)。
 おや、ところでこの本は文庫本なのにつきものの解説がないぞ。少し損した気分。

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2011年2月 7日 (月)

月と木星

 さしもの大雪も一息ついて、2月にはいって少しおだやかな天気が続いていたと思ったら、今日は時折激しい吹雪模様の荒れた天気。昼に会議の帰りに徒歩15分ほどのキャンパス北方の建物から研究室にもどってくるときは、どこを歩いているんだかまったく見えないほどで文字通り雪ダルマになった。
 それが日没後の西空は晴れ渡って、おりしも三日月と木星が絵に描いたようにきれいに並んでいて美しい。ああきれいだ。メールででもツイッターででも誰かれなく教えてあげたいくらい。冬の天気は変わりやすく、そう思った次の瞬間にはもうあっという間に流れてきた一面の雲に覆われてしまった。

 これだけでは何なので(笑)。ベルギーのランナー、シュテファーン・エンゲルスさんが365日連続のフルマラソン完走をバルセロナで達成というとんでもないニュース。走破した距離は1万5401キロだそうな。確かに掛け算するとそうなるね。1日走るのだって楽ではないのに丸1年とは。雨の日も風の日も体調不良の日もあっただろうに毎日連続してというところがすごすぎる。ベルギーの人なのにバルセロナで達成というのがナゾだけど、ヨーロッパ中走ってるのだろうか。
 これまでの記録保持者は日本人楠田昭徳さんの52日間というから、単なる記録破り狙いどころではない。ギネス記録ってそりゃそうだろうそうだろう。

2011年2月 6日 (日)

「フレンチ警部とチェインの謎」

★★★☆☆。
 まさに古き良き時代。井上勇の訳がまた時代を感じさせる。現実感はまるでないが、これはこういう物語なのだと思って読めばそれなりにおもしろい。フレンチ警部お得意のアリバイ崩しは出てこないで、しいていえば暗号物ということになるのだろうが、その暗号も物語の最後の方でやっと実物の絵が出てくるくらいで、その解読が主題となっているわけではない。そういう意味ではミステリというよりサスペンスといったほうがいいだろう。
 実際、前半のかなりの部分は謎の文書をめぐるチェインと悪党どもの活劇(という古い表現がぴったり)で、そこにメリルという勇敢な若い娘の協力者があらわれて、2人で悪者に立ち向かうという筋書き。フレンチ警部が登場してからも頭というよりは地道な足での捜査が主体で、悪人どもの行方を追いかけ、最後は絵にかいたようなハッピーエンドでめでたしめでたしと。最後の富の分配とかこんないいかげんでいいのか、など細かい点に目くじらを立てるほどの作品ではないだろう。でも「復刊フェア」で大々的に復刻するほどのものでもないような。
 クロフツのフレンチ警部物も何を読んで何を読んでないのかもうわからなくなっている。クロフツに限らず昔読んだものはみなそうだ。読書ノートなどという気の利いたものはつけてないしな。年に100冊読むとして30年で3000冊。憶えきれないよ。

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 昨日は意気軒高だったのに、今日は風が冷たくてつらかった。こんな日は屋内でバイク漕ぐ方がいいや、ってか(笑)
 今日のランニング。10.7 km/75 min。今月の累計距離 21.2 km。

2011年2月 5日 (土)

始動

 しまなみ海道まで4ヶ月となったので、そろそろトレーニング開始せねば。幸い今日はおだやかな天気で、ちょっと風が強いけれど晴れて気温が0℃と暖かかったので外へ走りに出る。そういえばと思って昨年のブログを見返したらやはり1月末に天気に誘われて外を走っている。まだまだ真冬だが、冬至から1ヶ月が過ぎて日差しが明らかに強くなるこの頃は、外へ出たくなるものだ。
 とはいえ、走るコースを選ばないと圧雪の路面は滑る。おまけに今年は雪が多いので歩道の除雪が行き届かずに狭い。なので歩行者の多い道路は走りにくい。さて、というわけで跨線橋を渡って南あいの里へ行くことにした。まだ家も車も少ないので車道でも走りやすいだろうとの読みだ。これがまずまずで結構快適だった。学園都市線沿いの道など陽の当たるところは一部アスファルトが出ていて走りやすい。一周2キロ弱のコースを設定してぐるぐる周る。
 冬だろうが雪道だろうがなんといっても外を走るのは楽しい。家の中でバイク漕ぐなんてアホらしくてやってられない。早く春にならないかな~。

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 今日のランニング。10.5 km/69 min。今月の累計距離 10.5 km。

2011年2月 4日 (金)

ウソも方便

 なんかまた相撲界が揺れているな。以前の野球賭博問題で押収した携帯電話から八百長を示唆するメールが見つかったというのが発端らしい。野球賭博の話は決着したのかと思っていたらとんだところに飛び火したもんだ。ただし、競馬競輪と違ってギャンブルの対象になっていない相撲では、八百長があっても罪には問われないので、捜査で知り得た情報を公開するかどうかは、ひとえに社会的影響にかかっているとのこと。犯罪じゃないからまあいいじゃないのと警察が黙ってたらわからなかったわけだ。
 前にも書いたかもしれないけど、少し騒ぎすぎじゃなかろうか。毎場所同じ力士と対戦するようなみんなが顔見知りの狭い世界で、番付によって給料が大きく変わる(十両と幕下)みたいなことがあれば、お互いさまだしちょっとなんとか、という気になっても不思議ではない。今までだって折に触れて無気力相撲だの八百長疑惑だのは浮上していたものだ。7勝7敗力士の千秋楽の勝率が75%なんて調査した人もいるらしいし。誰もがうすうすそんなこともあるだろう、と思っていた。それがこうして表ざたになったからといって、信頼を傷つけただの土俵を汚しただのと大騒ぎするほどのことか。まじめにやっている人もいるのだし、なかにはそういうこともあるさ、そういうものだと思って観戦すればいいのでは。春場所中止検討なんていってるけど、それでイヤな人は見るのをやめればいいだけの話で、それでも見たい人だっているだろうに。
 どんな世界だってすべてが品行方正というわけにはいかない。誰しも後ろ暗いことのひとつやふたつはあるのでは。それともぼくと違ってみんなすべてに公明正大清廉潔白な人ばかりなんだろうか(笑)。八百長が暴力団の資金源になるとかいうなら別だ。そういうのは厳正に取り締まるべきだけど、仲間うちで星を融通し合うことなんて、人間がやっている以上禁止したってなくならないだろう。プロの技量で不自然でない取り口で勝負がつけば誰にもわからないし、だまされてもわからなければそれが真実になるのだからそれでいいじゃないの。誰も損しているわけじゃなし。なんでもかんでも真実を暴露するのは一見正義のようにみえて社会生活や人間関係を破壊するもとだと思うけどな。

2011年2月 3日 (木)

「13階段」

★★★★☆。
 偶然だけど、これも死刑執行直前の真犯人捜しというサスペンス。冤罪で極刑を言い渡された被告人を謎の依頼人が私財をなげうって真相究明して救おうという話なのだが、その依頼を受けた元刑務官の南郷とその助手を務める前科者三上が調査を始めてみると、思いもよらない事実が浮かび上がり、あっ!という結末に至る。江戸川乱歩賞受賞作ということなので、こういう筋書きだったのかよ、というミステリとしての意外性も十分。
 まあ、依頼人の真相解明の動機はそこまでするかとちょっと無理があるし、真犯人が都合よく居合わせるというのもできすぎているし、同じ土地で過去のできごとが重なる暗合がかなり不自然だとは思う。だけど、この作品の主題は題名に象徴される合法的報復手段としての死刑制度と、その対極にある人による超法的報復との対比だろう。そういう意味では、肝心の冤罪死刑囚は単なる脇役であって、主人公は獅子奮迅の活躍をする南郷と三上だ。特に、自らの手で2人の死刑囚を処刑した過去に疑問をもつ南郷の冤罪を晴らそう、受刑者の更生に助力しようという、強い意志が物語の中心になっている。その生き方、根源的な問いがよく伝わってくるし理解できるので、一体感をもって読み進められるところがこの作品の魅力であり強みだと思う。
 結果的に、法によらず人の手で人を裁くという結末になっているのは、賛否分かれるところかもしれない。ぼくはすべて収まるように収まったこの結末は気に入っている。ただひとつ、南郷のささやかな夢だったサウス・ウインド・ベーカリーが実現しなかったのは残念だけど。

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2011年2月 2日 (水)

完結

 およそ2ヶ月半の間毎週の実験ゼミで語り続けたタスキリレーがめでたく今夜で完結した。11月17日にスタートして、年末年始以外は1回も欠けることなく全10回、実質18年間の指導学生68人中現在に直接つながる部分を除いた44人分について延べ184枚のスライドをつくった。
 昔の学生のことを思い浮かべながら資料をつくる作業は大変だけれど、一方で楽しくもあった。あれ、こんなことやってたっけ、もう少しこう進めていたらよかったかも、などと昔の研究を思い出して新たなヒントをもらったりもした。まさに18年間蓄えてきた財産なのだと思う。ぼくが初めて媒酌人を務めた神奈川のM君から始まって、由緒ある奈良の旧家のお嬢さんYさんまで今回登場した44人の教え子たちには本当に感謝したい。どうもありがとう。
 こうして振り返ってみると、個々の研究と同じように研究室全体の進み具合にも波があるのだな、とあらためて思った。個人個人やっていることは違っても、研究室内がうまく回ると相乗効果?ですべてがいい方向へと進み出す。逆に、停滞しているときは誰かが足を引っ張るとみんなが悪い方へとスパイラルに落ち込んでしまう。研究室というのは結構人間関係の密な社会なので、うまく舵をとれるかどうかでみんなの気の持ちようというかやる気というかが大きく変わるのかもしれないと思う。そこが教員の手腕なんだろうなあ。う~ん、今はどうなんだろう...。

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2011年2月 1日 (火)

ちょっとだけ春

 学位論文公開発表会。うちの研究室からは今年は課程博士2名が論文を提出して今日の発表会に臨んだ。
 当然のことながら、修論や卒論の発表会とは違って、博士論文発表会は段違いに緊張感がある。何度も練習して十分に練って発表会を迎えたつもりでも、小心者のぼくは聴いていて早く終わらないか早く終わらないかとそればかり考えていた。何とか大過なく発表と質疑を終え、口頭試問もクリアーして、最後の学位授与審議委員会での経過説明の後に、無事に承認されたときは、本当にほっとした。うわ~終わったぁ~。まだ専攻教授会の審査は残しているものの、とりあえず大きなハードルをクリアーした。
 発表した当人はもちろんご苦労さまだけど、指導する側としても綱渡りのようだった日々を思い返して感慨深いものがある。やれやれ肩の荷が少し軽くなったぞ。まだ2月になったばかりだけど、一足早くちょっぴり春が来たなー、今日は祝杯だ(笑)。

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