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2011年4月21日 (木)

「千両花嫁」

★★★★☆。
 この著者は「利休にたずねよ」に感心して読み始めてこれが3冊目。カバーの解説に「はんなり系痛快時代小説」とあるので興味を引かれた。たしかに、これまでのしっかりした骨格の人間の生き方を端正に描いた作品とは全然違っていてびっくり。こんな芸風もあるのだ。
 幕末の京都、ふざけた名前の道具屋「とびきり屋」の駆け落ち同然に結ばれた若夫婦真之介とゆずが主人公。時代が時代、場所が場所だけに、坂本竜馬や高杉晋作や近藤勇などの大立て者が次々に店先にあらわれて、若夫婦を巻き込んでドタバタ騒ぎを繰り広げる。馬鹿馬鹿しいといえばいえるけれど、彼らのいかにもそれらしいところが笑える。
 収載された7つの小話のひとつひとつの出来事を、まじめな真之介と機転のきくゆずが度胸と目利きで抜きつ抜かれつして解決してゆくところはなかなか痛快だ。まあ、うまく行きすぎるところも多々あるけれど、エンターテインメントなのだからそれでいいのだ。なかでは「金蒔絵の蝶」。「論はないぞえ惚れたが負けよ浮くも沈むもぬししだい」、高杉晋作の直情のかなしさに思わず共感。最終の「目利き一万両」でちょっと泣かせて幕をひくあたりもうまい。こうなると続編が読みたくなるな。それがちゃんと用意されているところも心にくい。早く文庫にならないかな。

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