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2011年5月17日 (火)

「我、言挙げす」

★★★★☆。
 髪結い伊三次捕物余話ももう8作目。ますます快調という感じ。伊三次の親分である町方同心不破友之進の息子で番方若同心になった不破龍之進が物語の主役格となって活躍する。その初々しい感性が作品の大きな魅力だ。なんていうのはこっちがトシとったということなのか(笑)。
 「委細かまわず」の謎の上役小早川への澄んだ眼と評価、「黒い振袖」の井川藩かがり姫への純心と淡い慕情、「我、言挙げす」の精右衛門の正義への共感、いずれをとっても清廉直情の若者ぶりが表れていて好もしい。
 前にwebmaster日記(2009.10.12)に書いたけど、シリーズ第6作「君を乗せる舟」の中の名セリフ、思いを寄せる娘あぐりが祝言に向かう舟を見送っての「私は舟になりたいと思いました」にはほんとに泣かされた。トシは取りたくない、いやトシはとってもずっとこういう感性を持ち続けていたい、とつくづく思う。
 あ、もちろん伊三次とお文の夫婦に一粒種伊与太は健在で、そっちが主体の物語もこれまで通り。中には「明烏」みたいな珍しい異界譚もあって、趣向が凝らされている。
 と、ほめておいて一つ苦言。著者による「文庫のためのあとがき」、これは蛇足以下だったね。web上の書評への感想なのだが、「アホかいな」はいくら筆が滑ったとはいえ、プロの書き手が読者に対する言葉としては不穏当だろう。思うのは自由だが印刷紙面に載ることの意味がわからぬトシでもなかろうに。

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 日中は暖かかったけど、日が落ちるとさすがに空気が凛と引き締まる感じ。そんな中を半袖で走るのは爽快。やっとこんな季節になったか。おりしも今夜は満月。黄橙色の大きな月が東の低空にぽっかり浮かんでいてそれは幻想的な眺め。もっとずっとこのまま月を眺めて走っていたい。
 今日のランニング。7.2 km/43 min。今月の累計距離 166.9 km。

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