« 速報 | トップページ | 初戦突破 »

2011年6月27日 (月)

「雷神の筒」

★★★☆☆。
 なんかやっぱり似ているよな。「火天の城」であり、「いっしん虎徹」であり。築城、刀剣、鉄砲と対象は違え、それぞれの男の生きざまは驚くほどよく似ている。同じ景色を連続して見せられれば、どんな絶景だとて飽きてしまう。なんだかなあという読後感もそこから来るのだろう。
 本書が悪いというのではもちろんない。ここから山本兼一を読み始めた人は瞠目してとりこになるだろう。それくらいストーリーはおもしろく、史料に乏しい伝説の人物をここまで生き生きと躍動させる手腕の見事さにはうなるしかない。雑賀孫市との交流はまったくのフィクションだろうけど、物語に欠くべからざるエピソードとしてうまく効いているし、織田信長のかくもあらんという描写などもうますぎる。
 だから続けざまに作品を読みあさる読み方のほうが問題なのかもしれない。だけど、気に入った著者の別の作品があったら普通はもう一つ読んでみるかと思うものだろう。そう考えたら、このマンネリ感は厳しいことをいえば著者の間口の狭さ以外の何物でもない。佐藤雅美についても同じようなことを書いたけれど、多作家にしてそれぞれ目先を変えておもしろく読ませるテクニックというのは、並大抵のものではないのだということがよくわかる。

Img_2488

« 速報 | トップページ | 初戦突破 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

無料ブログはココログ