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2011年8月

2011年8月31日 (水)

「ブラバン」

★★★★☆。
 一週間も夏休みがあったのにほとんど本を読めなかったのが残念。これは休み前に読み終わっていたもの。なんで手に取ったのか忘れたけれど店頭衝動買いの一冊。「永遠の青春組曲」なんて気恥ずかしいカバー解説にあるように、スポ根ではないけれどそれに近い高校の吹奏楽部の日々とその卒業後の再結成の話。合唱や吹奏楽は文化部ではあるけれど、体力が要求されることもあって筋トレしたりするし、日々の朝錬夕錬と運動部みたいな側面がある。チームプレイでもある。
 広島にあるという設定の典則高校のブラスバンド部でコントラバスを弾いていた僕、他片等の一人称で物語は進む。僕は卒業後25年を経て流行らない酒場のマスターになっているが、そのもとに25年前のメンバーを集めてブラバンを再結成して結婚披露宴で演奏するという企画が持ち込まれる、という筋書き。ただし内容のほとんどは再結成の苦労話ではなく、現役当時のさまざまなエピソードに満ちた回想シーンだ。それがテンポよくおもしろい。お父さんがだまって高価なエレキベースを買ってくれる話なんか泣かせるし、コントラバスをエレキ仕様に改造するシーンなどは大笑い。会話が広島弁なのがローカル感を醸しだしていて、この場合はプラスに働いている。最後は意外な結末に終わるのだがこれはこれでいいと思う。
 軽い。一気に読める。深刻な場面もあるにはあるのだけれど、深刻にさせない明るさが救いになっている。難をいえば大編成の部活なので登場人物が多いところだろうか。だけどパートごとに分かれているし、基本的に重なっているのは3学年しかいないので、それほどわかりにくくない。主要な10人くらいの友人はキャラが立っていてすぐにおぼえられるし。ぼくはとっくに過ぎてしまったけど、高校卒業して25年、40代前半の人には吹奏楽をやっていなくても同世代感というかもっと作品世界に浸れるのかもなと思う。

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2011年8月30日 (火)

当別ふれあいバス

 一週間の夏休み最終日。前半は結構充実していた気がするけれど、後半のマラソン以降はだらだらと終わってしまった。今日も昼間に当別ふれあいバスに乗ってきただけ。あいの里地区から石狩太美方面へは以前は北海道中央バスの路線があったが、いつの間にか廃止されて、今はこのふれあいバスに変わっている。太美あたりを走っているとこの見なれぬバス停を見かけたり、太美駅前で小型バスが客待ちしているのを見かけて気になっていた。もとより市販の時刻表には載っていないので、調べてみると主体は当別町内の運行で、平日のみ北海道医療大あいの里キャンパスまで運行されていることがわかった。平日のみではふだんは乗る機会がないので、こういう日がチャンスだ。
 出発は家から5分ほどの医療大附属病院の玄関脇。行ってみるとすでに5,6人お年寄りが乗っている。なるほど当別町内からの病院通院者用なのだ。あいの里教育大駅の停留所は駅ロータリー内ではなく、東光ストア寄りの中央バス停と共用。ここでも買い物客が乗ってきて座席がほぼ埋まった。年配の女性ばかり。あいの里公園駅から札幌大橋を渡って当別町内にはいり、ロイズ太美工場、石狩太美駅経由でまっすぐスウェーデンヒルズへ上り、中を通って当別町市街地へ向かうルート。当別町内にはいると一部区間はフリー乗降区間になっている。石狩当別駅まで時間は40分以上かかるけど小まめに停まってくれる上に運賃は均一200円とJRの260円より安い。当別町、北海道医療大学、スウェーデンヒルズが参加事業所として出資して、当別町の下段モータースという会社が委託運行している。公営交通のない当別町内、スウェーデンヒルズ地区、医療大病院利用者の貴重な足となっているようだ。
 当別駅前からは江別駅前まで当江線というこれも時刻表にないバスが出ていて平日のみ4往復していることを後から知った。ちょうど乗り継げる便があったのに、ふれあいバスは南口に着くのになぜか当江線は北口発着なので気がつかなかった。知っていれば江別まで乗ってみたかったのに後の祭り。

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2011年8月29日 (月)

負けてもあっぱれ

 一夜明けてもまだ夏休みというのはありがたい。気が抜けたわけでもないけれど疲労と前夜の飲み過ぎで寝坊したので、どこか近郊の温泉へリハビリに行こうという計画はキャンセル。しようがないので、録画してあった北海道マラソンの中継見てフォームのチェックでもするか(映ってないってば(笑))。しかし吉田香織残念だったなあ。途中、すれ違ったときはぶっちぎりのトップだったのに、あれが逆転されるんだもんな。同姓同名の教え子がいるので応援していたのに。同じアミノバイタル所属でテレビ解説の谷川真理も断然肩入れして応援していたのは、あんなんでいいのかと思ったけど。でもマラソン走った人ならわかるだろうけど、あの条件で前半から飛ばすのは勇気のいることだ。負けてもあっぱれだと思う。
 温泉に行きそびれたので、疲れた体をほぐすのに午後から40キロばかり自転車で走ってきた。まあ温泉より自転車の方がぼくらしいよな。同じ距離でもウソのように楽だ。自転車ってなんてすばらしい発明だろうかと思う。

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2011年8月28日 (日)

リベンジ

 昨年に引き続き今年も暑かった北海道マラソン。今年はなんとか2年ぶりに完走して昨年の借りを返すことができた。このために2月からトレーニングを始めて約半年。1300キロ以上の距離を踏んだ。これで完走できないはずはない。とは思ったけれど、こればかりは走ってみないとわからない。スタート前はつらかった昨年のレースのことばかりが思い出されて、不安で押しつぶされそう。
 けっしてラクなレースではなかった。5キロの給水ポイントからずっと水をかぶりっぱなし。39キロまでたどりついてはいってきた北大構内。うっそうと繁るメンストの木々。ああなんてすばらしい環境なんだろうとつくづく思う。農学部前では居並ぶ学生さんと連続ハイタッチ、その後中央ローンの先にはカミさんの応援。これで最後のスイッチがはいらなかったらどうかしている。応援してくれたすべてのみなさんに感謝、感謝。
 ゴールして、この日のために吹雪の日に泣きそうになりながら何くそ~と走った日々を思い出し、熱いものがこみあげてきて少し泣いた。マラソンはおろかウルトラマラソンでも完走して泣いたことなんてないのに。涙腺がゆるんでトシのせいかねえ(笑)。

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 今日のランニング。43.9 km/286 min。今月の累計距離 164.5 km。

2011年8月27日 (土)

「ふたつめの月」

★★★☆☆。
 柳の下にドジョウは二匹いないとか。とかく2冊目は難しい。「賢者はベンチで思索する」に続く久里子と赤坂(国枝)老人もの第二弾。今回も、久里子の身の回りで起こるちょっと不可解なことについて赤坂老が答えを導く、という体裁ではあるのだけれど、ちょっと違う。久里子の独立性が増していてその分赤坂老の存在が薄まっている。結局彼は感想を述べるくらいで大したことはせず、事態は久里子自身が解決してしまっている。
 ゆるくつながった3作の大きなテーマは久里子と弓田君との関係であり、そこにからまる明日香の存在であり、なので謎解きというほどでもなく解決するというほどでもなく、若者の揺れ動く心の物語とでもいうか。まあ、おぢさんがしたり顔で論評するような内容ではない。正月明けの成田空港での見送りシーンに「コクリコ坂から」の電停シーンがダブる。どうしてこういうときに主導権をにぎるのは女のコなんだろうか(笑)。
 最後の表題作にいたって、赤坂老人の影の一面がまたあらわれて意外な展開になるけれど、これとて1冊目を読んでいれば想像可能な範囲だ。街灯を壊す行為にどういう必然性があるのか、かなり苦しい理由づけながら表題がすべてを表している。「サクリファイス」という表題も衝撃的だったが、「ふたつめの月」という意味がわかってみると、この本の最大の魅力はこの表題なのではという気がしてくる。

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2011年8月26日 (金)

旭川

 青春18きっぷの旅第2弾。今日は旭川へ。理由は二つある。
 最大の理由は敷かれたレールの上の行き来からの逸脱願望、なんて大げさな。ふだん毎日乗っている通勤列車。朝、判で押したように同じ時間に同じ車両に同じような顔ぶれで乗る。たいていの人はその繰り返しを毎日しているのだろう。ああ今朝は何か憂鬱だなあ行きたくないなあと思っているときに、反対のホームに停まっている列車。あれに乗ってどこかへ行ってしまいたい。そう思ったことのない人は幸せな人だ。ぼくは登校拒否不良中年なのでそういうことがしょっちゅうある。東京で会議があるときに時間の関係でいつも乗るのが、桑園駅を9:05に出て札幌から新千歳空港行き快速エアポートになる電車。学園都市線から乗り換えてホームに上がると、その電車の1本前に同じホームに9:02発の旭川行き普通電車が来る。札幌近郊ではほとんど乗ることのできなくなった赤色の711系だ。これに乗ればのんびり旭川まで行けるんだ。東京の会議なんてすっぽかして乗っちゃいたいな、とよく思う。だけどそんなことはできないので、いつも指をくわえて見送り、次の空港行きを待つことになる。いつか乗ってみたい乗ってやろうと思っていたその赤い電車にいまこそぼくは乗っている。積年の夢叶う、というほどおおげさなものではないにしても、こんなにわくわくすることがあるだろうか。

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 もう一つは、大型書店ジュンク堂旭川店。旭川は北海道第二の都市でありながら丸井今井デパートが撤退するなど中心部の沈滞が著しい。札幌まで30分ごとに出ている特急に乗れば1時間20分では独立した商圏として成り立ちにくいのだろう。その丸井今井のあったビル内に進出したのがジュンク堂。1-5階まで5フロアからなる道北最大書店という触れ込みだ。ただでさえ本の売れない時代にネット通販に押されて苦戦しているリアル書店なのに、これはまた何という勇敢な挑戦だろうか。ジュンク堂は札幌にもあるけれど、いまいち場所が悪くて空いている。だけどぼくは大好きだ。棚配置や店内デザインが落ち着いていて、ゆっくり本を眺められる。いつも空いているのでいずれ撤退してしまうのではとそれだけが心配だ。なので旭川店だって応援したくなる。旭川店は各フロアが札幌の半分ほどの面積だろうか。でも店内を歩いて、ああジュンク堂だなあと感じる。感覚がとても似ている。つい本を買いたくなる。

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 特急に乗れば3時間で往復できる旭川に一日がかりで出かけて、札幌にだってある本を3冊買ってきた。それだけの一日。だけど、日常からの逸脱こそが旅の本質だとすれば、これは紛れもなくぼくの豊饒な旅だ。

2011年8月25日 (木)

日延べ

 昨日がんばってブログにたくさん写真を貼りつけた上に、勢いに乗って何年かぶりにおもてのwebページを更新したりしたものだから、今日はお疲れ(笑)。おもてのといっても表芸の有機化学ではなく鉄道のページなのであまりいばれないんだけど。久しぶりなのでHTMLの書き方を忘れていて手間取ったけど、やはりきちんとまとめるといいよね。公開するしないは別として、旅の記録もこうして整理するといいんだよなあとは思うけど、ずぼらな性格なのでなかなかできない。
 今日は朝起きると雨模様。天気予報では昼前後まで雨らしい。ぼくの旅は基本的にほとんどの時間鉄道に乗っているだけなので雨でも差支えないのだけれど、今回は少し街歩きの予定だったのでカサ差して歩くのがおっくうだったのと、明日は回復して晴れそうなので、日延べすることに。もともと3日間で2行程の予定だったのでまあいいや。というわけで休養日となった。昼頃までだらだらして、あとは少し本を読み、さすがに体がなまるので夕方1時間ばかり自転車でモエレ沼を一回りしてきた。モエレ沼の外周コースは一周3.7キロくらいだろうか、ランニングになかなかよさげ。うちから行って2周してもどれば20キロくらいになる計算だ。こんどは走りに行こう、なんて北海道マラソン後にそんなモチベーションが残っていればの話だけど。
 夜は、のんびりとファイターズ戦をテレビ観戦。ダルビッシュが15奪三振の快投で快勝、ならいい気分で一日を終われるところが、2-1でよもやの敗戦。毎回のようにランナーを出しながら10残塁の拙攻ではなあ。まったくフラストレーションのたまる試合だった。しかも9回裏1死2塁バッター陽というところでテレビ中継は時間切れ。テレビ界もいつまでこういう視聴者をなめたことをやってるのかと思うよ。まあどうせ負けたんだけど。

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2011年8月24日 (水)

大狩部

 見知らぬ横丁の先を曲がるともうそこから旅が始まる、というのは永六輔の名言だ。なにも遠くへ行くばかりが旅ではない。ちょっとばかり日常からはずれた異空間へ行けば思わぬ世界が広がる。
 青春18きっぷの旅第1弾。いくつか候補はあったけれどまずは7年越しの懸案であった日高本線の秘境駅大狩部へ何をおいても行こうと思い立つ。行ってみたら、いやあ想像以上にすばらしいところだった。秘境かどうかはともかく、人っ子一人いない小じんまりした駅から望む夏の日差しに輝く海のきれいなこと。まさに絶景。駅の周辺でたくさん写真を撮ってきたのでここに載せようかと思ったが、このブログは文章中心で写真集としては使ってないので、別にまとめることにした。大狩部駅はその筋では有名なのでweb上の情報もいろいろあるけれど、どうも最近のまとまった写真があまりないこともあるし、参考にしたい人も多いかもしれないので、この雑多な内容のブログとは切り離しておいてほうが検索にもいいだろう。というわけで本webページの「鉄道のある風景」の中に「日高本線大狩部駅」というエントリを立てたので大狩部の詳細はそちらをご覧ください。
 というとみんなそっちへ行ってしまって戻ってこないと困るので(笑)、前後も含め少しだけこっちにも。
 まずは苫小牧から乗った単行ディーゼルカー。日高本線は日高色という独自のカラーの車両が走っているのだけれど、たまたまこいつはJR北海道の標準色。うちの近所で乗るのと変わらない。

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 日高門別を過ぎると右手に太平洋が広がり、日高路らしくなる。でもこんな海景はまだまだ序の口だった。

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 車内はこんな感じ。シーズンの盛りを過ぎているせいかボックスに1,2人ずつといったところ。のんびり旅するには最適だ。

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 大狩部に着いた。いい雰囲気でしょ。詳細はこちらで。

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 ホームの向こう側の防波柵越しの太平洋。陽光を浴びてどこまでも真っ青。それはそれは美しく、眺めていると時間を忘れる。

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 帰りに静内から乗ったディーゼルカー。こちらが本来の日高線色。

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 帰りの車内から眺めた太平洋。これだけでも来たかいがある。旅だよなあ。

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 海はすばらしい。偉大だ。ぼんやり眺めているだけで心の底から癒される。こうしてたまに海を眺めないと精神の平衡を保てないのではと思ってしまう。
 大狩部、よかったよ。また絶対来たいと思ったよ。でも悲しいことにたぶんもう来ることはないんだろうな。人生ってのはそういうものだ、とこの歳になるとわかる。

2011年8月23日 (火)

「館島」

★★★★☆。
 あの東川篤哉。これは本屋大賞受賞作「謎解きはディナーのあとで」より前の作品だけど、意外にまっとうなミステリでびっくりした(失礼)。彼の持ち味はドタバタギャグだけではないのだ。というか掛け合い漫才を楽しみながらちゃんとしたミステリも味わえるというなかなかの才能なのでは。クレイグ・ライスというとほめ過ぎにしても。
 瀬戸内海の孤島に建つ六角形の館。謎の死を遂げた設計者でもある資産家の相続問題をめぐって、招待された関係者が集う夜に起こる殺人事件。おりしも嵐が襲って島は孤立し、さらにまた犠牲者が...。う~ん、いかにもできすぎというか舞台装置がそろい過ぎ、見え見えコテコテで恥しいような設定だ。しかも警察が到着するまでに謎解きに挑むのが美人探偵(帯に美人と書いてある)とちょっと粗忽な休暇中の刑事という配役。この2人のやりとりがおかしい、というのは「謎解きは~」を読んだ人には解説不要だろう。
 ドタバタばかりではない。メイントリックは驚くなかれ島田荘司ばりの壮大な仕掛けだ。これ以上いうとネタバレになってしまうけどね。かくして1から10までつくりもののおとぎ話ではあるけれど、結構痛快で楽しく読めた。あんなアホらしいものよく読みますねとか誰かさんにまた言われそうだけど、ぼくはこういう非現実的なのは好きなので。難をいえばタイトルがちょっとね。いっそ「十文字館の謎」とかでは(笑)。

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2011年8月22日 (月)

旅仕度

 明後日からの夏休みの準備開始。まずは青春18きっぷと道内時刻表をゲット。
 青春18きっぷを買うのは2006年夏シーズン以来だから5年ぶりだ。駅の窓口で発券されるときに、端末から次々に用紙が吐き出される。その数6枚。まさか1回分ずつバラになったわけはないよな、と思って渡されたのを見ると、本券1枚にご案内3枚アンケート2枚だった。ご案内は3枚もあったろうか。「ムーンライトながら」の乗り方まで説明されている。トラブルが多いのかな。アンケートは初めて見た。5回分の乗車区間を乗継も含めてすべて書けというもの。なんという面倒な。1本や2本ならともかく、細かく乗り継げば1日に10本やそこらは乗れるだろうし、そんなのいちいちこの狭い券面に書いて申告する人がどれだけいるのだろう。利用調査の一環なんだろうけれど、もうちょっとやりようがないものか。
 一方の道内時刻表。これもしばらく買ったことはおろか手に取ったこともない。昔の弘済出版社版は交通公社版に比べてローカルバス路線時刻が充実しているのがウリだった。交通公社版はすでになく、弘済出版社のは今は交通新聞社と名を変えてまだ売られているが、買ってみてびっくり。バスのページを見ると、「2009年5月号よりバス路線の一部(生活路線)を非掲載とさせていただいております」だと。なんと、役立たないなあ。たとえば、JTB全国時刻表にすら収載されている滝川~新十津川あたりの中央バスすら載っていない。道内はJR路線も本数も少ないので、バスでうまく補完するのが効率よく動くカギなのに。しかたないので、必要な時刻表についてはwebで調べるハメになった。こういうご時勢だからほとんどのバス会社はそれで情報が得られるのが救い。なるほど、だから時刻表が売れなくなるんだ。

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2011年8月21日 (日)

「シャドウ」

★★★★★。
 直木賞をとったからというわけではないが、読んだことがなかったので手に取ってみたのがこれ。2007年の本格ミステリ大賞受賞作だそう。本格ミステリといっていいかどうかは疑問だけれど、作品としての完成度には感心。何より文章の構成と精緻さはすばらしい。全体に仕かけられた叙述トリックとミスリーディング、うっかり読んでいるとすっぽりと嵌ってしまう。登場人物たちの誰を何を信じたらいいのかわからないいい知れぬ不安にぐいぐい引き込まれていき、読み始めると止まらない。うまいと思う。出てくる主要人物はたった5,6人で、その中に被害者も加害者もいる。それなのに真相が最後までわからない。
 主人公は妻を病気で失ったばかりの我茂洋一郎とその息子の小学5年生の凰介。洋一郎の同僚の水城徹とその娘で凰介の同級生亜紀。水城の妻、恵の自殺と相前後して亜紀が車に飛び込むという事故が相次ぐ。水城家に何が起こっているのか。凰介は亜紀のために洋一郎やその恩師である田地教授の力を借りて、真相究明に挑む。ちょっと違うなあ。まあ流れとしてはそんな話。
 健気にがんばる凰介の心理や言動描写がうまい。つい応援してしまう。洋一郎との父子関係も微笑ましい。父も息子もいないぼくにはちょっぴりうらやましい。最後に明かされる意外な真相はあまり愉快なものではないけれど、疑惑が晴れて残された家族の絆が修復され、読後感は悪くない。

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 今日のランニング。16.2 km/114 min。今月の累計距離 120.6 km。

2011年8月20日 (土)

惜敗

 夏の高校野球が日大三の優勝で閉幕。しかし青森県代表の光星学院惜しかったな。決勝戦は大差だったけど、これはありがちなことで実力に差はなかったよ。北海道にいて高校野球というと何といっても駒大苫小牧の連覇+αだけど、その興奮もずいぶん遠ざかった今となって、もうほんとに全国の実力差はなくなってしまったと思う。どこのチームが優勝したっておかしくない。北海道勢も今年でいえば、北海は一回戦、白樺学園も二回戦で負けちゃったけど、いずれも接戦でのサヨナラ負けだったし。
 だけど、長い間北国チームは弱い弱いといわれ続けてきたので、どうしても北海道東北勢に肩入れして見てしまう。東北勢でただ一校勝ち上がった光星学院に最後は勝たせてやりたかったな。今年は大地震があっただけに格別だ。残念無念。青森勢の決勝進出はあの三沢以来だっていうんだもの。ぼくは中学生だったけど、テレビにくぎ付けになった三沢ー松山商の死闘は今でも忘れられない。そのときの太田投手が産経新聞に感動的なコメントを寄せているが、まさに同感。よくやったよ。日本中に元気をあたえた。胸張って帰ってきてほしい。

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 今日のランニング。11.0 km/72 min。今月の累計距離 104.4 km。

2011年8月19日 (金)

神様のごほうび

 8月に札響定期があるのは珍しい。1年10回の公演で夏に2回抜けるのがいつものパタンだが、今年はなぜか5月が空いて代わりに8月にある。職場から19時の開演前にキタラに駆けつけると、もう空が暮れかかっている。夏至から2ヶ月が過ぎようとしているのだから当然だ。もう秋だな。
 ブリテンの知らない曲の後に小川典子のソロでプロコフィエフの協奏曲第3番。小川典子も歳とったななんてことはどうでもいいので(ピアノは素晴らしく達者だった、念のため)、今夜のメインプロはブラームスの第2交響曲。ぼくの大好きな曲。ブラームスの4曲ある交響曲はいずれも甲乙つけがたいが、2番は好きだ。冒頭のメロディが流れ出すと本当に心が洗われるようで、それだけで涙腺がゆるんでしまう。
 この1週間は大変だった。実験台にはりついてずっと実験してた。それでやっとこ目的物の合成の最後まで完了できた。楽しかったけど疲れた。もうこの歳では連日の実験台皆勤は無理だなと思った。ああそんな1週間も終わった。ぼくだけのために神様が極上のブラームスを用意して下さったのだ。この美しい調べ。
 しかし、演奏中に客席の後ろで騒ぎだした男はなんなんだ。なんか外国語しゃべってるみたいだったけど。よりによってひとがせっかく没我の境地にはいりこんでいるというのに。まあこれこそ生演奏でしか味わえないハプニングというかなんというか(笑)。

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2011年8月18日 (木)

「月光ゲーム」

★★★☆☆。
 有栖川有栖って実はあまり読んでないんだよな。「孤島パズル」くらい。本書は初期の代表作で名前はよく知ってたけど手に取ったのは初めて。というか読んだような気になっていたけど読んでみると未読だった。トシをとるとこういうことが多くなってきた。逆に、読んだことがあるのを忘れていて読み始めてあれ何か読んだ記憶がと気づいたり。
 大学のサークルの夏キャンプ。浅間山近くの山に偶然行き合わせた複数のグループが合同で総勢17名の大所帯となって楽しんでいるところへ思わぬ火山の噴火が。下山路が通行止めになって孤立した中で起こる連続殺人事件。いわゆる雪の山荘ものだ。初期作品でしかも出てくるのが大学生ばかりなので、どうしても若書きっぽい印象がぬぐえない。クイーンばりに「読者への挑戦」がはさまれているなど、その意気やよしではあるが、殺人の動機も純情すぎるし、ダイイングメッセージもあまりにこじつけっぽく、残念ながら完成度としては今ひとつだろう。登場人物も閉鎖系にしては学生ばかり17人と多すぎて、誰が誰か把握しきれない。
 今どきの学生はこういうキャンプなんかするのだろうか。そういう設定からしていかにも旧き良き時代という感じで、その中で自然に生じる男女間の心の通い合いなど、年寄りがノスタルジーにひたるにはいいのかも(笑)。

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2011年8月17日 (水)

100歳の誕生日

 今日は母方の祖母の100回目の誕生日。なんとめでたい。明治44(1911)年8月17日の生まれ。明治は45年7月30日までしかなかったので、来年の夏には明治生まれの人がみんな100歳以上になるのだな。中村草田男が「降る雪や明治は遠くなりにけり」と詠んだのが昭和初期の1931年というからそれからでも80年。いまや遠いどころのさわぎではない。
 祖母は今は入院生活だが1年前くらいまでは元気で、出歩きこそできなかったけれど頭もしっかりしていて、テレビはもちろん新聞や週刊誌を読むのが日課だった。2年ほど前に脊椎圧迫骨折にかかる前までは、杖ついて自由に歩いていたし、歳のわりには元気で周囲の人にびっくりされていた。ただ長生きしてもボケたり体が不自由になってはしかたない。自分も川端のおばあちゃんのように老いたいと目標にする人が何人もいた。さすがに入院生活を送るようになってからは体が弱ってきたけれど、こうして100歳の誕生日を迎えられたなんて、やはりわが家が誇るスーパーばあちゃんだ。
 うちの母方は結構長生きの家系で、祖父が亡くなったのも91歳、老衰で眠るような大往生だった。なんの取り柄もない孫ではあるけれど、ぼくも祖父母にあやかってスーパーじいちゃんになり、長い余生を存分に楽しみたいものだ(笑)。

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 今日のランニング。5.1 km/32 min。今月の累計距離 93.4 km。

2011年8月16日 (火)

「七回死んだ男」

★★★★★。
 この著者は初めて読んだが、むう~んと唸らされた。そもそもの設定が荒唐無稽とリアリズム派からは総スカンを食らいそうだけれど、こういうのぼくは好きだ。
 同じ日を9回繰り返す「反復落とし穴」というのが事件の鍵になっている。主人公である高校生大庭久太郎は、この特異体質の持ち主で、自分で意図しないある1日が突然反復する「反復落とし穴」に落ちてしまう。その間は同じ1日を9回繰り返す、つまり夜12時になると同じ1日が反復し、その最後の9回目がその1日の決定版として歴史に残って次の日へ進むという設定だ。9回の反復の間は基本的に同じことが繰り返されるが、自分の意志でいくらか変えることもできる。ただし、歴史の流れを保存しようという大きな意志?が働くので、あまりの逸脱行為は許されない。9回は多すぎるけど、自分の意志でやり直しがきくのだからこれは便利だ。なので難関進学校の入試日に落とし穴に落ちた久太郎は、同じ試験を9回受けるうちに当然ながら学習して満点の成績で受かったりする。
 さて本文は、その「反復落とし穴」の日に家庭内の遺産相続問題がからんで祖父が殺されるという事件が起こったという設定だ。久太郎少年は祖父が殺されないように反復の期間にあれこれと手段を尽くすのだが、歴史の流れの圧力はさるもので思いもかけないことからどうあがいてもやはり祖父は殺されてしまう。反復の最後の1回にいたって苦心の努力が実り、無事に祖父は翌日まで生き延びることになったのだが、なんか変だ。そこで明らかになる意外な真相はという結末。
 久太郎とその謎解きをしてくれる人との関係がアクセントになって物語に色を添えているというようなことは、ネタバレになってしまうのでこれ以上は書けないけど。読んで、北村薫の「ターン」を思い出した。似たような設定を考える人はいるのだろう。あれもまたベタ甘のラストシーンだったよな、あれはあれで好きだった(笑)。

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2011年8月15日 (月)

実験日和

 お盆の唯一の行事である墓参は昨日すませたので、今日はふつうに出勤。この時期は通勤列車も空いているし、研究室も空いているので快適。講義やゼミは休みだし、会議もないし、電話もほとんどかかってこないし、着信メールもぐっと減る。1日を自分のペースで自由に使え、仕事の能率が上がる。
 ふだんは学生・スタッフ合わせて16人が2つの実験室にひしめいているぼくの研究グループも、さすがに今日ラボのベンチに顔を出したのはぼくを含めて3人。さる学生に言わせれば、人の少ないお盆休みに実験するのは寂しくて切ないものだそうだけど、ぼくは断然逆。ふだんは共通で譲り合って使う機器類やスペースを好き勝手に使えるし、よけいな雑音がないので実験に集中できて効率が上がる。今日は3つも反応を進めてしまった。もちろんどんどん進めたからといって、結果がすべてうまくいくかというとそれは別問題だけど(笑)。ここ数日で秋の学会のネタを仕上げてしまえるようにがんばろうっと。

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2011年8月14日 (日)

お盆

 お盆休みといっても、この地で生まれ育ったぼくには帰省先があるわけでもない。わが一族の墓も市内にあるし。今日は毎年恒例の墓参り。平岸霊園にあるささやかな墓前に集まったのは6名。一昔前は3家族11人が集まってがやがやとにぎやかな墓参だったけれど、このところはこんなぐあい。その後、とあるホテルで会食して解散。
 朝からパラついていた雨が午後からは本降りになり、トレーニングはなし。

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2011年8月13日 (土)

「蛍の行方」

★★★★☆。
 諸田玲子のお鳥見女房シリーズ第二作。毎度同じことを書くのは気が引けるけど、カバー絵の作者変えたらどうだろうね。これに惹かれて手に取る人と、これに引いて敬遠する人とでは後者がずっと多いようにぼくは思うんだけど。中身がいいだけに惜しいと思う。
 相変わらず矢島家を切り盛りする珠世の魅力的なこと。そのやさしさ、そして何より明るさ。こういう人がそばにいたら、心癒されるだろうと思う。「不運は重なる。ありがたいのは何事にもかぎりがあることだ。災いはいつか福に転ずる。福は福を呼ぶ。それさえ信じていれば、なにがあっても笑顔で切り抜けられる」。まさにそれを体現している。この言葉、そういえば前に読んでここに引用した「賢者はベンチで思索する」の中の国枝(赤坂)老人の言葉にそっくり。なるほど、ぼくはこういう言葉に弱いんだなきっと(笑)。
 第二話の表題作。愛し合っていながらちょっとした言葉の行き違いで別れることになった美弥と次左衛門。「『噂など信じぬ』となにゆえ書いてくださらなんだのか」という美弥の気持はわからないでもない。だけど、そこまで文の文言に厳密さを要求されたら辛いよな。話し合えばどうってことのないことが、手紙にすると一人歩きして行き違いを生む。ぼくは男だからか、劇的な再会後に蛍を届けた次左衛門の心中を思うとやりきれない。

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 今日のランニング。20.0 km/140 min。今月の累計距離 88.3 km。

2011年8月12日 (金)

アカデミック・サポートセンター

 今日は普通どおり出勤。ぼくの本務の農学部は先週で前期の試験週間が終わって夏休みにはいったけれど、4月に入学した1年生が全員所属する高等教育推進機構というわけのわからない名前の組織は今日が試験を含む前期の最終日。ひょんなことから係わることになった機構内にあるアカデミック・サポートセンター(ASC)の平常業務も前期は今日でほぼ終わりということになる。週1回金曜日の定例スタッフミーティングも今日で一段落。
 同じ大学にいてもASCとは何をやる組織なのかご存じない方も多いと思う。詳しくはwebページをみていただくとして、要は1年生の来春の学部学科選択(総合入試学生の学科・コース移行、学部別入試学生の学科分属)の際のスムースな選択に向けた情報提供やアドバイス業務、1年生を中心に授業でわからなかったことを手助けする学習サポート業務、それらに関わるデータ分析業務の3本の柱からなっている。当の支援主体である1年生には圧倒的な知名度を誇っており、たとえば学習サポートでは前期約4ヶ月で数学、物理を中心に延べ1100余名もの利用者があった。これは他大学の類似の取り組みと比べてもかなり大きな数字であり、実際に他大学からの見学や、情報提供依頼も多い。
 北大は今年度から総合入試制度を導入し、過半の学生が理系・文系の大きな枠で入学してきている。ASCはもともとはこの大きな制度変更と連動して設置された組織なので、実際の活動は緒に就いたばかりだ。入学してバタバタと前期が終わり、9月末の後期にはいると、移行ガイダンスや志望調査などがはじまってそろそろ学生も真剣に進路を考えだす時期になる。われわれも短い夏休みをはさんで、9月にはまた気合いを入れ直してサポート業務に取り組まねばならないと思っているところだ。珍しくこんなまじめな話になってしまったけれど、まあぼくだってちゃんと色々な仕事しているんですよということで(笑)。

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2011年8月11日 (木)

茨戸

 今日はなんとか1日だけひねり出した夏休み。職場の夏季特別休暇は連続する3日間とれるしくみになっているのだけれど、明日は会議と〆切仕事があるので行かなくちゃならないし、毎週火曜日のNMRのマシンタイムは無駄にできないのでそのための反応仕込みとか考えると月曜日も休めない。来週後半は木金と大学院入試があるし、となるとお盆休みなどもうありえない。ぼくの真の夏休みはいつ来るのだろうか。
 今年は久々の猛暑などと書いたらその後も暑い日は続き、今日は33.8℃と今年最高だった。こんな日は家にいてもクーラーがあるわけじゃなし職場の方が涼しいようなものだけれど、せっかくの夏休みなのでありがたく休ませてもらう。パンツ一丁で扇風機かけながらたまっていたミステリを2冊読んだ。初めて読んだ西澤保彦には仰天という話はまたいずれ。午後5時の気温がまだ30.5℃というのでは走る気にもなれず、そうだ自転車に乗ろうと久々にRSR2を引っ張り出す。いやあ快適。あたりまえだけど自分の脚で走っていた距離が自転車だと楽々あっという間だ。なんて楽しいんだろう。マラソンシーズン終わったら少しまた自転車乗ろうっと。
 暑いときは水場だよなと向かった茨戸漕艇場でしばし風に吹かれる。シーズンまっさかりで高校生フォアがスタンドのコーチにメガホンで怒鳴られながら一生懸命ボート練習してた。いやあ青春だなあ(笑)。

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2011年8月10日 (水)

「チヨ子」

★★★☆☆。
 宮部みゆきの新刊は短篇集未収録作品5編の文庫版刊行。こういう落ち穂拾い的なものは作者の没後とかにかき集めて出されたりするものなので、多作で順調に新刊を出している宮部みゆきがなんで今という感あり。内容も水準作ではあるにしても特にどうということもなく、この著者にしては平凡。なんか出版社の事情でもあったのかね~。
 ちょっと意外性のある「雪娘」と「聖痕」、ほのぼのしたファンタジーの「オモチャ」と「チヨ子」、それと「いしまくら」はホラーなのかなあ。長さもまちまち、それぞれ単独で取り上げるには役者不足、なのでこれまで短編集からこぼれ落ちてしまっていた、というのがうなずける。まあ、そう思って読むからそうなのかもしれないけれど。その中でなんで一番短い「チヨ子」が全体の表題になったのかというと、インパクトあるタイトルなのと、短いながらまとまっていて発想がおもしろい点だろうか。確かに“ちょっといい話”っぽいファンタジー小編としてはよくできている。
 でもやはり宮部みゆきは長編作家だと思う。そろそろ「小暮写眞館」のような新境地長篇の新作を読みたい。

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2011年8月 9日 (火)

暑中見舞い

 暑中お見舞い申し上げます。
 昨日が立秋だったので、正式には残暑見舞いというべきなのかもしれないけれど、実感はまだまだ暑中という感じ。長期予報がどうだったかよくおぼえてないけど、今夏は昨年ほど暑くない予想じゃなかったろうか。そんな思惑をいとも簡単にくつがえして、7月下旬から暑い日が続く。8月にはいってから一層気温が上がり、5日から9日の今日までの最高気温は、30.4、31.9、30.4、31.8、30.6と5日連続の真夏日。明日の予報も30℃だから6日連続ということになると、1999年8月7日~13日の7日間連続真夏日という最近の記録に次ぐ12年ぶりの猛暑ということになる。
 まあねえ、真夏日なんてのは可愛いものらしく、本州以南には猛暑日というすさまじいものがあるらしいので、こんなで夏バテしていてはばちが当たるというものかもしれない。さらに今年は原発事故の余波で各地で節電要請がされているので、暑い地方は大変だろうと思う。明日も各地で37℃前後の暑さになるという注意情報が出されているので、暑い地方の方は本当にご無事でいてくださいね。
 札幌も今夜は最低気温があまり下がらずに今年一番の寝苦しい夜になるとの予報(といっても23℃だけど)。当地はふだん涼しい土地柄なせいで、けっこう暑かった昨年8月には体調を崩した学生さんもいたみたいだし、夜寝られないのはつらいもので夏バテに直結するので注意してよね、ほんと。

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 今日のランニング。7.0 km/43 min。今月の累計距離 68.3 km。

2011年8月 8日 (月)

「魔神の遊戯」

★★★★☆。
 島田荘司の御手洗潔ものもどれを読んでどれを読んでないのかわからなくなってきた。ネス湖畔の小さな村で起きたバラバラ殺人事件。旧約聖書の凶暴なユダヤ神ヤーハエの仕業そのままに死体は暴力的にちぎられて意味ありげに配置される。一方でその未来の事件を予知したかのような絵を描く孤独な画家。何がどうつながっているのか。そもそも合理的な解決が可能なのか。まあ島田荘司だからな、力技で解決してしまうんだよな、と何作も読んでいるのでそこは安心。しかし今回はちょっと変わったトリックが仕掛けられていて引っかかった。この手の叙述トリックは彼にしては珍しいのでは。
 プロットとは別に、異国人ミタライ教授とともに捜査を手掛ける地元のバグリー署長と、酒場に入り浸っていながら鋭い推理をみせる飲んだくれバーニーのやりとりがすこぶる楽しい。「バゲットをかじって、缶詰のスープをすすって、あとは酒があればいい。残りの人生に、私はそれ以上の何も望まない」。ぼくは酔っぱらいバーニーが好きだなあ(笑)。

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2011年8月 7日 (日)

オアシス

 3日連続の真夏日。昨年も8月は暑かったけど今年も同じようになりそう。
 昨日は昼から所用があって朝10キロしか走ってないので、今日はその分も含めて30キロ3時間走を義務づける。別に義務で走る必要はないが、あと3週間にせまった北海道マラソンに向けてここらでLSDをやっておく必要があるので。ただし暑い。この暑さの日中を30キロも走るのは体力消耗するしこの歳には正直堪える。だけどマラソン当日だって昨年みたいに暑いかもしれないし、それを言いだせば夏のマラソンに出ること自体がそもそも無謀ということになってしまう。
 などとぐずぐず言わずに走りに出る。なんとかなるさ。走ってみると幸い昨日ほど暑くはなく、風もあったので思ったよりラクではあった。が、暑いことには変わらない。ぼくのふだんのランニングコースはいなかなのでコンビニも自販もほとんどない。今日はさすがに危機感があったので水飲み場を2ヶ所経由するコースに変更。大きめの公園には必ずある変哲のない水飲み場がまさにオアシスに見える。

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 今日のランニング。30.0 km/205 min。今月の累計距離 61.3 km。

2011年8月 6日 (土)

コクリコ坂から

 1960年代の横浜、東京、ノスタルジックな舞台に繰り広げられる高校生の青春物語。古い建物カルチェラタンを建て替えから守ろうとする純粋な学園紛争といつしか芽生えた淡い恋心。時代背景も若者気質も現代とは大きく変わっているだろう。ぼくらの世代には風景の何もかもが懐かしい。自分たちが松崎海であり風間俊であり、お互いの複雑な関係に一喜一憂しながらほのかな愛を育てて行く。建て替え問題を東京の理事長に直訴した帰り、横浜市電の電停でのひとコマに胸キュンして、ひとときそれぞれのあの頃を思い出して感情移入し、笑い、泣く。そして真相が明らかにされた外洋船の船上。よかったね、メル。
 これを今の若い人はどう観るのだろうか。単に筋書きだけを追っても楽しめるのかもしれない。だけど、これは40代50代の元青春世代が一時今を忘れてタイムスリップする追憶の物語なのだと思う。映画好きの学生にぜひ感想を聞いてみたい。

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 今日のランニング。10.0 km/62 min。今月の累計距離 31.3 km。

2011年8月 5日 (金)

「震度0」

★★☆☆☆。
 警察小説。徹底的に狭い範囲の警察内部の組織内の人間関係や確執の話に終始している。ストーリーは、阪神大震災の発生と相前後して1人の有能な課長が失踪し、それをめぐって県警内部の本部長と5人の部長がエゴむき出し虚々実々の暗闘を繰り広げるという話だ。体裁はミステリらしくもあるけれど、そうではなくキャリヤとノンキャリヤの対立構図、旧態依然の組織のパワーゲーム、身勝手な自己保身と思惑、それらがドロドロと渦巻いているだけ。男たちだけにとどまらず、狭い宿舎に顔突き合わせて住む妻たちの力関係なんかもからんできて、まったく胸が悪くなる。
 失踪した不破課長の心情には同情できないでもないけれど、この人間模様はなんなんだろうか。爽やかさも希望もみじんもない。飾らない人間の本質というか人間関係の駆け引きに興味がもてる人には、それぞれの場面展開で刻々と変化していく強弱関係とか、妻たちも加わった職場の意外な人間関係とかが、おもしろいのかもしれない。いかんせんぼくはまったくそういうのはだめなので理解できないのだけれど。

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2011年8月 4日 (木)

おめでとう

 今日はいいことあった。苦心して合成していたO君のプローブ分子がめでたく完成。夕方にそのNMR測定をぼくがして、きれいなスペクトルをこの目で確認して感動した。ごらんのとおり別に大層な分子ではなく、合成屋さんからみればどうってことのない反応を数段階繰り返したにすぎないのだけれど、やはり新しいものを創造するというのはすばらしい成果だ。そして、その場に立ち会えたのは何よりの教師冥利に尽きる。まあぼくはほとんど指導らしいことはしていないので、本人の不断の努力と直接指導しているKさんの力なんだけど。
 ぼくが自分でNMRとりたがるのは、合成品であれ天然物であれ新規化合物で今まで誰も見たことのないスペクトルを、世界で最初に自分が見られるからなんだよね。いくつになってもワクワクする(笑)。

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 今日のランニング。7.1 km/43 min。今月の累計距離 21.3 km。

2011年8月 3日 (水)

金縛り

 一昨夜、昨夜となぜかまた眠れない。ずっと不眠などとは無縁だったのに、「眠れない」なんてエントリを書いたあたりからおかしくなってきて、時おりこういうことがある。更年期なのだろうか(笑)。さすがにこの歳になると眠れなかった翌日はこたえるので、初めのうちは眠れない夜は気ばかり焦っていたものだが、最近はどうしようもないしどうってことないと開き直ることもおぼえたので、まあそれほど精神的に負担ではない。
 それはともかく、昨夜は本当に久しぶりに金縛りにあって、それはびっくりした。10年ぶり以上だろう。ここ15年間の日記に検索かけてみたけど出てこないし。金縛りって若者がかかるのだと思ってたけど、そういうことではないのだな。若い頃は何回も経験あって、あ、まただ、とか楽しむというか余裕もって意識できてたけれど、昨夜のは結構強烈で体が動かないのはもちろん、胸が苦しくて、う~とかうなり声をあげたりした。体は動かないのだから実際は発声できていたのかはわからないけど。死ぬかと思った、いやマジで。
 突然なんなんだろうね~と調べてみる。といってもウィキペディアなので話半分。それによれば、『金縛りは、普段余り運動しない者が突然運動を行った場合などに起こりやすくなる。特に有酸素運動は金縛りを誘発しやすい。過酷な有酸素運動をしているスポーツ選手の中には、毎日のように金縛りに掛かる者も多い』と。人一倍運動はしてるので前段はともかく、問題は後段だ。げ、ぼくくらいの走り込みは過酷とはいえないと思うけど、毎日かかる者も多いって...(ギョ)。
 ネットみてると、金縛りになる方法というのはあってもならない方法ってのは出てこない。なんなんだよ。若いからみんな楽しんでるのか。年とったらそうはいかないよ。さてさて今晩は。なんか嫌だなあ。
 今日のランニング。7.1 km/42 min。今月の累計距離 14.2 km。

2011年8月 2日 (火)

「宿命」

★★★★☆。
 今から20年前、デビュー5年後の若かりし時代の作品。ぼくは好きな作家はだいたい年代を追って読む主義なので、東野圭吾も今のところ初期作品ばかり読んでいる。さすがに古くさいし、生硬というか熟してない若書きっぽいところがあって読んでいてひっかかる。最近読んだ「変身」、「眠りの森」なんかにそれは共通する感想だ。だけど、この作者ただ者ではないとは思う。いずれの作品も読み終わって読み手の心に何かが残る。だから、次を読んでみようかという気になる。読み捨てで終わらない何かがあるからだ。以前、読書家の学生が、読んでも何も残らないと「謎解きはディナーのあとで」を酷評していた。あれはあれでわははと笑って読めばいいんだよとぼくは答えたけど、東野圭吾なら彼女のお眼鏡にかなうのだろうな、という気がする。
 家庭の事情で医学部進学を諦め、恋人とも別れて、心ならずも親の後をついで警察官になった和倉勇作。その子供の頃からのライバルで大企業の御曹司の瓜生晃彦。その瓜生家で起こった殺人事件の捜査に勇作が加わったことで、両者が劇的に再会する。あのとき別れた恋人は晃彦の妻となっていた、なんて書くとおいおいと言いたくなるような偶然すぎる筋書きだ。だけどそこで驚いていてはいけない。殺人事件の真相なんて実はどうでもいいので、この宿命のライバル同士がなんと...、というところが本作の眼目なのだ。最後の一行そのものが意外かどうかはともかく、まさに宿命を感じさせる。感動的な意外性もさることながら、読後感は悪くない。いや、いっそ爽やかと言っていいだろう。

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 今日のランニング。7.1 km/44 min。今月の累計距離 7.1 km。

2011年8月 1日 (月)

4.10点

 昨年度後期の授業アンケート集計表が届いた。昨年もこんなエントリ書いたなと思ってさがしたらずばりタイトルが「3.88点」。その同じ科目(有機化学II)の総合平均点が今回はなんと4.10点に0.22ポイントも上昇した。有機化学で4点台は記憶にないなと調べてみたら、過去5年間の点数は3.59→3.98→3.85→3.88→4.10だった。3年前はかなり惜しかったけれど、確かに初めて4点台に乗った。いやあめでたい。昨年と今年でやり方を大きく変えたりはしてないので、何で急上昇したのかわからないけれど、すなおにうれしい。
 質問項目は16個あってそれぞれ5点満点で評価される。今回最高点だった項目は「教員は学生の質問・発言等に適切に対応した。」で4.80点(昨年4.08点)、最低点項目は「私はシラバスの到達目標を達成できた。」で3.14点(昨年3.19点)。あれ下がってる。昨年より評価が下がった項目はもうひとつあって、「教員の話し方は聞き取りやすかった。」で3.66点(昨年3.89点)。
 今年は自由記述欄の意見も多く、【良かったと思う点】に29名、【改善した方が良いと思う点】に18名もの意見が寄せられた(昨年はそれぞれ21名、16名)。提出枚数が35枚だから、8割を超える人から良かったと思われたことになる。これで気をよくしない方がどうかしている。しかしだ。同時に改善点ありとの意見も半数を超えている。手放しでほめてはいないよ、直すべきところは直しなさいよ、という学生の声が聞こえてきそう。要改善点は例年あまり変わらなくて、しゃべり方と黒板の使い方だ。ここいらを抜本的に変えないと及第点はもらえないのだな。いってみれば内容ではなく形式の話なので、やろうと思えば簡単にできそうなことだけど、習慣化しているので常に意識してないとならないのが難しい。次の講義はこの10月開始。よしっ、がんばるぞ(笑)。

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