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2011年9月

2011年9月30日 (金)

「ファントム・ピークス」

★★★☆☆。
 「宮部みゆき氏絶賛!」とか安易に書かないでほしい。ん、まあ宮部みゆき作品は買っていても、その本人の好き嫌いまで買っているわけではないからな。なんとなくだまされる自分が悪いのかい。
 ミステリでもサスペンスでもない。当たり前すぎて、まさかこんなオチじゃないでしょという感じ。カバー裏には「超一級のパニック・エンターテインメント」と書かれている。パニック・エンターテインメントって何よと思うけど、ああそうなのかという気はするけどね。意外性はゼロだよね。
 著者は、カバーの説明によれば映画宣伝会社のプロデューサを経て執筆活動に入り、本作を書きあげた後に病没したのだそうだ。どうりで聞いたことないわけだ。

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2011年9月29日 (木)

4人

 まだ9月だというのにという理屈は通用しなくて今年後半の授業が始まった。2ヶ月ぶりの講義、何度やっても初回は緊張する。午前中のひとコマは、気合い入れて準備した割には空回りした感があって、今ひとつうまくいかなかった。気合いは入れすぎてもだめで、もちろん抜いてもだめ。難しいものだ。
 午後は、南区にある私大の非常勤講師。今年で4年目だ。先日そこの副学長さんと飲み会で一緒になったときに学生集めが大変だということを聞いていたが、何と今年の受講生は4人。昨年はそれでも12人いたのに何でこんなに減っちゃったんだろう。これでは大学経営も楽じゃないよな。ただ、学生にきいてみたら学科には15人くらい学生がいるそうで、それなら昨年と大差ない。ということは例年ほぼ全員が選択しているぼくの授業の選択率が今年は低いということなのか。なんでやねん。昨年なんか悪いことしたかなあ...。
 4人相手に講義するのは難しい。昔、助手時代の研究室の4年生Y君の話を思い出す。朝1時間目の大講堂での講義。もともとキャパの割に受講生が少ない講義だったのが、ある朝彼が遅刻して、行きたくないと思ったけどしょうがないから行ってみたら、なんと広い大講堂に学生が誰もいず、先生がひとりポツンと所在なげに待っていたという。Y君もびっくりしたろうけれど、まさか他に人がいないからといって帰るわけにもいかず、受講してきたと。先生はうれしそうだったという話だった。当時は笑い話だったが、今はとっても笑えない。4人全員休むことはないにしても、1人や2人休んだらどうしよう。しかも苦手な女子学生だし(笑)。

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2011年9月28日 (水)

「彼女が死んだ夜」

★★☆☆☆。
 このところ当たりの本が続いたので、ここから少しハズレが続く。おもしろい本を読むとすぐにでも感想を書きたくなるけれど、そうでない本はつい後回しになる。こいつは、以前「くっだらない本」とtweetしたやつ。
 西澤保彦は前回作で買ってたんだけどこれはどうも。タック、タカチ、ボアン、ウサコという大学生4人組が事件に挑むというまあありそうな設定なんだけど、まずこの4人組がどうもいけ好かない。何がどうっていわれても説明できないが、読んでいて共感できないというか、ズレている。大学生とぼくとでは共感も何もあったものではないのは事実だけど、これを書いている著者だって似たような年代なのだから、やはり何かが根本的に噛みあってないのだろう。だからこの4人組の活躍が楽しく読める人はきっと違った評価になるのだと思う。ぼくはだめ。
 そしてまた、事件自体もその驚くべき真相も理解の外だ。あまりに身勝手すぎる。つくりに無理も多い。どんでん返しというかミステリ的な意外性は十分あると思うけれど、それ以前の問題なんだよな。所詮はつくりものなんだから何でもいいじゃん、というのがぼくのいつものスタンスなのだけれど、これは読んでいてずっと座り心地の悪いズレを感じ続けた。波長が合わないとでもいうのかな。作品の責任ではなく単なる読み手との相性なのかもしれない。

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2011年9月27日 (火)

争奪戦

 今日は1年生向け「学部・学科等紹介、相談会」。今年度からうちの大学は入学してから1年後にすべての学部・学科へ進学可能な総合入試制度を導入した。1年生の3月にそれぞれの成績と志望によって行き先の学部・学科が決定する。入試の時には文系か理系かの違いだけで、それ以上の進路選択をする必要がなく、はいってからゆっくりと自分がやりたい進路を考えることができるというシステムだ。ぼくが係わっているアカデミック・サポートセンターもこの入試改革と連動してつくられた組織だということは以前に触れた。ぼくが学生のときも似たような制度になっていて、ぼくは理類という大枠で入学し、その後入学当初考えていたのとは全く違う学部・学科に進学することになった。それが良かったのか悪かったのかという判断はできないし無意味だが、そういう意外性というか選択の幅が大きく広がることは間違いないだろう。
 学生の志望先には偏りがあり、受け入れる学科にも定員がある。うまいぐあいに学生の志望がそれぞれの学科定員に合致してくれれば双方めでたしめでたしになるが、そうは問屋がおろさない。そこで各学科はできるだけ優秀な学生を確保しようと争奪戦になる。今日のイベントは各学部・学科が一同に会し、丸一日かけて文化祭よろしく教室にブースを開いて1年生相手にプレゼンや展示、説明、相談会をするというもの。それぞれの学科が学生にアピールしようと工夫を凝らしているさまは、なかなか壮観だった。今年が初めてのことなのでやる側が勝手がわからないことも多かったためか、ひときわ熱心なところとそれなりのところの学科間の温度差があらわれたりしていたのも、それはそれで興味深い。
 明日から始まる2学期で、まず総合入試学生には第1回目の志望調査というのが行われる。学生にとっては自分の今の成績で同じ学部・学科を志望する学生の中で何番目くらいの順位であるかがたちどころにわかるし、学科側にとっては自分のところを志望している学生がどのくらいの成績で何人いるかがわかる。学年半ばの予備調査には過ぎないにしても、どちらにとっても結果が興味深々というところだろう。その結果が集計されるのは一週間後だ。さてどうなるかね(笑)。

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2011年9月26日 (月)

世界記録

 3年ぶりにマラソンの世界新記録が誕生。25日に行われたベルリンマラソンでケニアのパトリック・マカウ選手が2時間3分38秒の新記録で優勝。2008年の同じベルリンで樹立したハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)の世界記録を21秒更新した。マラソンの記録といえば、同じケニアのジョフリー・ムタイが今年4月のボストンマラソンで2時間3分3秒という驚異的タイムで優勝したのは記憶に新しいが、ボストンのコースは公認条件を満たしていないので公認記録として認められていない。
 まあいずれにしても、マラソンの記録は3分台前半の勝負になってきたわけだ。マカウの談話によれば条件が良ければ2分台も可能だという話だし、おそろしい時代だ。ちなみに日本最高記録は高岡寿成が2002年のシカゴマラソンで出した2時間6分16秒だから、世界記録より3分近く遅い上に9年間も更新されていない。いかに日本マラソン界が低迷しているかがわかる。
 ところで、ぼくの最高記録は誰も興味ないだろうけれど(笑)、3時間58分くらいだったと思う。4時間を切ったのはこの1回だけしかない。もう今の走力でサブフォーは無理っぽいので、せめて世界記録の2倍の時間でも目標にするかなあ。4時間7分16秒かあ、しかしそれも相当難しそう。世界記録っていったいどんだけ速いんだよって思うね。

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2011年9月25日 (日)

「ジェノサイド」

★★★★★。
 ハイズマン・レポートの人類絶滅要因によれば、1.宇宙規模の災害、2.地球規模の環境変動、3.核戦争、4.疫病:ウイルスの脅威及び生物兵器、5.人類の進化、だそうだ。
 この小説では実際にこのうちの一つがアフリカ中央部の紛争地帯で起こり、それを封じ込めようというアメリカ政府とそれに敵対する男たちの息詰まる攻防戦が繰り広げられる。進化の頂点として君臨する人類が絶滅するなどということはふだんは意識されていないけれど、客観的に考えれば歴史の必然のひとつとして何が起こってもおかしくない。それにあらがうことがはたしてできるのかどうか。その答はこの小説の最後にも明らかにされていない。予測不可能だからだろう。
 未来は予測不可能であるにしても、現在の地球上のことであれば不可能なことはない。我々には一見不可能に見えても、圧倒的な知性をもつ生物にとっては。GIFTという名のソフトウェアがある。遺伝子配列がわかりさえすればそれがコードする受容体タンパク質の立体構造が最適化され、その活性中心に結合する低分子リガンドの構造まで導きだしてくれるという夢のようなツールだ。受容体タンパク質がわかっても、その機能すなわちそれを活性化するリガンドがわからないオーファンレセプターは数多い。遺伝子とタンパク質は1対1で特定できてもそれにフィットするリガンド探しは非常な難問だからだ。こんなソフトがあれば、ドラッグデザインは終わったも同然。特に、遺伝子変異による遺伝病の治療に大きな威力を発揮するだろう。
 もちろん現在の人知でこんなソフトはつくれないが、次世代の進化した人類ならつくれるかもしれない。それが人類にとっての福音になるかあるいは脅威になるかは、次世代人類と現人類が友好的に共存できるかどうかにかかっている。ぼくは何を夢のようなことを書いているのだろう。が、これがこの途方もない物語の主題でもある。とても片言隻句で要約できるようなものではない。圧倒的な構想力のストーリーと迫力ある描写。今年前半の話題をさらっても不思議ではない。
 といっても単なるSFで終わっているのでははなく、この物語がとても人間臭いぼくらの目線で読むことができるのは、いくらGIFTが優れ物であっても最適化されたリガンド分子を作りだすには、人の手による有機合成が必須だからだろう。実際、大学院生の古賀研人が隠れ家で寝る間も惜しんで合成作業に没頭するくだりはとても共感できる。頑張れ頑張れと応援してしまう。ツイッターの化学クラスタで高い評価を得ているのもこのあたりに原因があると思う。
 最後の圧倒的なハッピーエンドはできすぎで白々しいほどだけど、まあいいよね。いいと思うよ。

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 今日のランニング。26.5 km/174 min。今月の累計距離 154.3 km。

2011年9月24日 (土)

夫婦50割

 とうとう映画まで観てしまったし(笑)。それほど入れ込んでいるわけではないのだけれどなんかそういう成り行きで。
 まあ、でも危惧したとおりというか、あまり感心できなかった。大筋は本の通りなんだけど細かい説明が省かれていて、本を読んでない人にたとえば御嶽荘の面々のことがきちんと理解できるだろうか。病院での砂山、東西、水無の関係なんかも然り。映像は文章での説明では万言を費やさねばならないことでも一瞬で伝えられる雄弁性をもっているけれど、見ただけで説明されなければわからないこともある。ナレーションによる説明なしに画面と会話だけで背景をきちんと伝えるのはなかなか難しいと思う。キャストについていえば、宮﨑あおいがピッタリで櫻井翔がいまひとつというのは書評にも書いたとおり。あの健康的な丸顔どんぐり眼は栗原一止ではないよなあ。東西が魅力的なのは意外な収穫だったけど、砂山はイケメンすぎて、え、これが砂山?とのけぞったし、加賀まりこの安曇さんもちょっとイメージとずれてる。もちろんこれは本を読んでのぼくの思い込みなので、独立した映画としてみればこれはこれでいいのだろうけど。あとはねえ、大事な人物が何人かバッサリ省略されているとか、最後に本にはないサプライズが用意されているとかあって、それはそれで悪くはないのだけれど、こうなってしまうと、本の続編に相当する映画の続編は作れなくなっちゃうよな。いいんだろうか。
 夫婦50割で1000円というのに味を占めて、最近映画館に足を運ぶことが増えた。次は「はやぶさ」だな。

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2011年9月23日 (金)

24時間

 今日は秋分の日、今月2回目の3連休の初日。大方の人にはそれで十分だろう。実は今日は東北大震災の影響で暫定ダイヤが続いていた東北新幹線が正常ダイヤに復帰する日だ。3月5日からたった一週間しか走っていなかった最速「はやぶさ」がまた走りはじめる。3月12日に開業した九州新幹線博多~新八代と結んで日本の北から南まで最速列車網が初めてつながったの歴史的な日というわけだ。
 これによって、稚内から鹿児島中央まで3072.4キロを23時間57分で走破できることになった。稚内16:51「スーパー宗谷4号」21:50札幌22:00「はまなす」5:40青森5:46「つがる2号」5:51新青森6:10「はやぶさ4号」9:24東京9:30のぞみ23号」1443博多1509「さくら419号」16:48鹿児島中央という経路。だからなんなんだというと、これは列車で24時間以内に移動できる最長ルートなのだそうで、さる物好きな鉄道ライターが実際に乗車してギネスブックに申請するのだそうだ。
 予定では九州新幹線延伸開業前日の3月11日に稚内を発つのだったのが、大地震で不可能になって昨日9月22日が最初の可能日になったというわけね。なるほどねえ。まあそれはそうなんだろうけれど自分は何の努力もしないで鉄道ダイヤに乗っかるだけでギネスブックかあ。同じことを考える人は他にもいるだろうし、今日ではなくてもいつでも誰でもができることなんじゃないのという気がするけどね。

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 今日のランニング。20.0 km/136 min。今月の累計距離 127.8 km。

2011年9月22日 (木)

祝賀会

 今日は水谷先生の受勲祝賀会。といっても東日本大震災を始め多端なご時勢に晴れがましいことは辞退したいというご本人の強い意向で、ごくごく内輪で10人ていどの門下生、縁の人だけが集まってのこじんまりとした集まりとなった。
 場所は知る人ぞ知るというか知らない人はいないというかの義経。いまだにこの位置に存続し続けているのが不思議なような店で、ぼくはもうそれこそ10年以上ぶりに行ったけれど、小ぎれいに改装されていてびっくりした。中のママさん、おばちゃんの顔ぶれも変わっていないのには二度びっくり。今日集まった顔ぶれとあわせて、なんだかタイムスリップしたかのような思いだった。
 水谷先生は大変お元気で、70歳から始められたウォーキングがすでに3万6千キロに達してもうすぐ地球一周だという話に三度びっくり。その他集まった顔ぶれはいちいち記さないので想像してください。とにかくじいさん方みなさん意気軒昂で、少数派の若い者はたじたじでした(笑)。

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2011年9月21日 (水)

夕焼け

 寒い。今日の最高気温は16.4℃。ここ数日でぐっと気温が下がった感じで、なんと今朝のJRには暖房がはいっていてびっくり。それが全然違和感なかったどころかうれしかったのに二度びっくり。ついこの間までは冷房だったのに。まあぼくの毎朝乗るやつは非冷房編成DCだから扇風機だけど。そういえば、あいの里公園までの電化工事もとっくに終わって来春からは新型電車が走り出すはずなのだけど、もう試運転電車は入線したのだろうか。ニュースきかないな。暖房はともかく来年夏からは冷房化率がアップするので楽しみなんだけど。
 9月は季節の変わり目とともに台風のシーズンだ。今年は当たり年なのか9月にはいって12号、今回の15号と大雨台風が直撃して西日本中心に大きな被害をもたらしている。今夜は恒例の飲み会でいつもの居酒屋でテレビニュースを見ていたら、東京のものすごい風雨の映像が延々と流れていた。電車がほとんど止まって通勤客が帰宅できずに足止めされて大変みたい。末娘が東京なので心配になってきいてみたら、今日は早上がりでとっくに帰宅していると。やれやれ安心。地震と違って台風は予想つくのだから事前の備えができるはずだよな。
 それと関係あるのかないのかわからないけれど、昨日今日と夕焼け空がすごい極彩色で目を引く。オレンジからスカーレットに刻々と色を変えてゆく西空がきれいというかすごいというか。ぼくの旧式携帯カメラではマニュアル設定を駆使しても忠実な色合いが再現できないのが残念。

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2011年9月20日 (火)

「一心斎不覚の筆禍」

★★★★☆。
  物書同心居眠り紋蔵シリーズももう9冊目(たぶん)。何度も同じことを書くけれどこの著者の似たようなシリーズはどれもおもしろく、続けて読んでいるのを合わせると相当な冊数になっているだろう。主人公の思考・行動パタンが似ていて周りの登場人物も大同小異なので、つい話がこんがらがる。紋蔵は八丁堀同心の例繰方すなわち書記役で、奥方が里、娘が稲、麦、妙に息子の紋太郎、紋次郎、貰い子の文吉。飲み友達は定廻りの大竹金吾と。なるほどなるほど思い出してきた。
 収録されている8編のストーリーはさすがに達者だ。9冊も読んで飽きないものかと思うけれど、こういうのは飽きる飽きないの問題ではなく、安心して心地よく読めるのでつい次々に読んでしまう。そういうふうに読者を引き込むというのが練達の技というものだろう。
 「文吉の初恋」、一旦は侠客不動岩の厄介になっていた文吉が堅気の世界にもどってきての話。まだ手習いに通う子供のことだが、男としてしっかりしたところが健気だ。その文吉に思いを寄せるのがおませなちよ。自分の立場をわきまえて付文の約束をあえて黙殺した文吉に、「はっきりしなさい。私のこと、嫌いなの?」と怒るちよ。そのちよが親の江戸払いで武州へと旅立つ朝、文吉は板橋宿まで見送りに行く。そこでのやりとりが子供ながら泣かせる。
 しかし、「コクリコ坂から」でも「ふたつめの月」でもそうだったように、またこのちよときた。女の子は強いね。男の子はいつもたじたじだ。まあ身の回りを見渡しても.....、以下略(笑)。

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2011年9月19日 (月)

敬老の日

 敬老の日。わが家はぼくもカミさんも長寿の家系なので年寄りが多く、この日はあちこちの表敬訪問で忙しい。100歳の祖母は別格としても、元気で長生きしてくれるというのは喜ばしいことだ。なんていって自分たちだってもうそろそろ祝われる側に片足突っ込んでいるんだからな。年寄りは大事にしましょう(笑)。

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2011年9月18日 (日)

「神様のカルテ2」

★★★★★。
 というわけで引続きPart 2。ここによく登場する読書家の院生と前作「神様のカルテ」の話をしたときに、すでに2ももっているというので借用したもの。なんと当の本人が読む前に貸してくれたものなので速攻で読んで返すことに。
 初回作の評判がよかったので続編を出版というのはよくある話。売れるとみた出版社が乗り気になるのか、はたまた著者が売り込むのか知らないけれど、たいていは初作の水準を越えられずに蛇足だったということになりがち。だけど、これは違う。たしかに同じ舞台で同じ登場人物で、二番煎じではあるのだけれど、医者の人間ドラマとしては前作よりずっと深い。主人公たる本庄病院の内科医栗原と同僚の外科医砂山に加えて、東京の病院から新たに加わった大学同期の進藤がいろいろと問題を引き起こす。身勝手な問題児に見えた進藤が実際は...、というところが大きな見せ場になっている。うまいと思う。医師として人としていかに生きるかそのぎりぎりの選択が深く胸を打つ。そしてどこまで追いつめられても希望を失ってはいけない。「飛車も角も失って満身創痍ではあったが、まだ詰んではいなかったようだな、タツ」。よかったね夏菜ちゃん(涙)。
 そして何といっても本作の白眉は、ネタバレになるので誰がどうとはいえないけれど信州松本の深夜に広がる満天の星空だろう。ここまでにいたるくだり、そしてその後、まったく涙なしには読めない。人間には星空を見上げる人と見上げない人と2種類いる、というのがぼくの持論だ。何をどう説明しても、感動しても、見ない人にはしょせん通じない。ここに出てくる登場人物はみんなこちら側の人々なのがぼくにはすこぶる心地よい。つくりもの、善人ばかり、何とでもいうがいい。この世が生きにくいからこそ、ひとときの清涼剤が必要なのではないか。

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 今日のランニング。20.0 km/136 min。今月の累計距離 107.8 km。

2011年9月17日 (土)

「神様のカルテ」

★★★★★。
 何かと話題の2010年度本屋大賞第2位作。櫻井翔、宮﨑あおいで映画化。気にはなるけれど、なんとなく話題先行で軽薄軟弱な感じがして手に取れないでいた。読もうと思ったきっかけは新聞のオリンパスの4ページ広告。われながら乗せられやすいというか、まあミーハーなんだな所詮。
 読んでみてびっくり。予想と全然違った。主人公の本庄病院内科医栗原一止は夏目漱石を愛し、連日の徹夜も辞さずに地域医療の現場で奮闘する硬骨漢。その毎日がユーモラスにつづられてゆく。なかには地域医療がかかえる問題点、過酷な勤務を強いられている医師の待遇問題、そういう深刻な問題が提起されているのだが、そんな重さを感じさせないように、軽々と物語は進む。病院の多士済々な医師、看護師たち、たまに家に帰れば浮世離れした御嶽荘に集う面々。それぞれのキャラが立っていておもしろい。そしてきわめつけは細君のハル。「月に良し悪しがあるのか」「ありますよ。空の向こうには良いお月様と悪いお月様がいて、どちらが出てくるかは実際に会うまでわからないんです」。ハルが噛むとすべてがロマンでありメルヘンになってしまう。この今どき極端な人物造型には賛否あるだろうが、ぼくは違和感なかった。実際にはありえないけれど、ドラマいや小説なんだからありだろう。ここへ宮﨑あおいをもってきたのはすばらしいキャスティングだと感心した。そこへいくと櫻井はどうかなあという感じ。
 そして、きちんと泣かせてくれる。安曇さん、いい人だねえ。いい人ほど早く逝くというのはその通りなのかもしれない。もう最後は涙、涙。病院のある信州松本の美しい自然、山々、四季の花、星空、そして数々の地酒、それらの舞台装置がとても効果的だ。著者の経歴を見るとまさに自身の体験に基づいているのだろうなとわかる。すでに続編第2作が上梓されているとなるとこれは読まずにいられない。映画は...、見たい気もするけれど見ない方がいいか思案中(笑)。

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 今日のランニング。20.1 km/131 min。今月の累計距離 87.8 km。

2011年9月16日 (金)

57歳

 昨年のサプライズに続いて今年もたくさんの人に祝っていただきました。本当にありがとうございました。57歳の抱負はと若い学生に問われて「とりあえず無事にまた1年生き延びること」と答えたのは本心です。なんとか無事に来年のこの日を迎えられるようにがんばります(笑)。

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2011年9月15日 (木)

「双頭の悪魔」

★★★★★。
 有栖川有栖の江神二郎シリーズ第3作。前回第1作「月光ゲーム」を読んで、第2作「孤島パズル」は以前読んだので今回はこれ。シリーズものは回を追うごとに質が低下して行くことが多いものだが、これはこれは。正直感心した。これがあの有栖川有栖なのか。孤島パズルはよく憶えていないが、習作的とけなした月光ゲームなんかよりは数段すばらしい。これだけのボリュームの本格作品では傑作の部類に入ると思う。見なおした。
 四国の山奥の木更村の芸術家コミュニティにはいりこんでもどってこない有馬麻里亜を英都大ミステリ研の江神、有栖らが訪ねて行く。折からの大雨で木更村へ通じる唯一の橋が崩落。それと前後して橋向こうと手前の夏森村とでそれぞれ不可解な殺人事件が起こる。橋向こうではたまたま芸術家コミュニティに潜入成功した江神と麻里亜、こちらでは有栖ら3人のミステリ研メンバーがそれぞれ推理を繰り広げる。物語は橋向こうマリアの視点とこちらアリスの視点でのようすが交互につづられてゆく。そして最後に一見つながりのなさそうな二つの事件の意外な真相が明らかになる。まあそういうストーリー。
 本格ミステリとしては、犯人の意外性と二つの犯罪がなぜ同時に起こらねばならなかったかの必然性など、うまくできていると思う。それだけでも十分及第点だ。そしてそれ以上に本作がすばらしいのは、文章のうまさと随所に心に残る名句がちりばめられていることだ。有栖川有栖ってこんなに文章家だったっけと驚かされるくらい。「運命なんて犬と同じだ。逃げる者に襲いかかってくる。この地上に楽園なんてない。自然は真空を嫌うけれど、神は楽園が憎いのだ。」、などなどうんうんと身に沁みてうなずかされる言葉があちこちに出てくる。それがこの作品を単なるミステリから人間的文学へと昇華させている。読んだ後で謎解きの爽快感以上の満ち足りた感慨、ああいい本を読んだ、という気にさせる。

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2011年9月14日 (水)

送別会

 今夜は英語コース大学院生でインドネシアからの留学生Mさんの送別会。今から7年前、彼女が学部3年生のときに北大の短期留学プログラムに応募して、1年間日本文化を学ぶコースに在籍したときに受け入れ教員としてお世話したのが縁で、その帰国1年後に今度は国費大学院生として再来日して農学院の英語コースに入学し、この秋で5年目。めでたく博士の学位を取得して再来週に帰国するはこびとなった。
 英語コースは文科省の強い指導で延長が認められないので、必ず5年以内に修了要件をクリアーして論文を提出しなければならない。まさに背水の陣。来たときは実験室内の右も左もわからない状態だったのが、よくがんばって論文提出にこぎつけたと思う。ぼくは大した指導をしたわけではないけれど、ほんとに肩の荷が降りた気がする。よかったよかった。
 途中1年のブランクがあるものの、初めて会ったときから7年間か。あっという間のような気がするが、考えてみると2004年というとぼくが50歳になった年で、初めて100キロマラソンを完走した年なんだ。うわあ、大昔だ(笑)。

2011年9月13日 (火)

訃報ふたたび

 「訃報」というエントリをつい2ヶ月半前に書いたばかりなのに。なんたる年だ。またこんな記事を書くことになろうとは。
 もう25年も前のことになるが、助手時代にキャンベラにあるオーストラリア国立大化学科に2年間ポスドクで滞在した。そのときのボスだったクロウ教授逝去のe-mailが今日届いた。最近体調を崩して入院していたというので心配していたのだけれど、夏に渡豪してお見舞いに行った知人から、わりあい元気そうで退院して家にもどるのを楽しみにしている、という話を聞いたばかりで少し安心していた。それが容体の急変でこの9日に亡くなったのだそうだ。
 オーストラリアの思い出は数限りなく、2年間どれだけお世話になったかはかりしれない。クロウ先生は大の親日家で何度も日本を訪れていて、ぼくが最後にお会いしたのは1998年夏に札幌に来られたときだった。鉄道好きの先生が「北斗星」で帰京するのを札幌駅まで送って行ったら、雨の影響で運休になり、急遽翌朝の飛行機を手配したりとバタバタしたのを今でも憶えている。それからでももう13年か。一度オーストラリアへ行きたいねと家内といつも話していながら機会がなく、ついに行けずじまいだったのが悔やまれる。悲しくてたまらない。ご冥福をお祈りします。

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2011年9月12日 (月)

ススキ飾り

 今日は中秋の名月なので十五夜というタイトルで書こうと思って待てよと調べてみたら、やっぱり昨年「十五夜」というエントリを書いてあった。ブログも2年目となるとこういうことがよくある。毎年同じ年中行事が巡ってくるが、できるだけ同じネタを繰り返さないように心がけてはいるのだけれど、そうそうバラエティに富んだ人生を送っているわけでもないので、他に書くことが思いつかない日もある。
 昨年の十五夜は9月22日でちょうど見ごろの木星が月のすぐ近くにいてきれいな写真が撮れた。十五夜は旧暦8月15日の夜のことなので、もちろん年によって日が違うし、天文学上の満月とずれていることもある。たしか昨年がそうで満月は翌日の23日だった。そこへいくと今年はちょうど今日が満月でぴったりの名月のはずなのにあいにくの天気。だけど夕方は雨だったのがこの時間になって雲が切れてきたので、もう少し夜半になったら月見ができるかも。どうせ眠れないんだったら夜更かしするかな。
 どっちにしても今年は月の写真は間にあいそうもないので、代わりにわが家の飾り物の写真でお茶を濁しておこう。なんで真ん中にカーネーションが?とか花器がビアジョッキなの?とかはきかないでください(笑)。

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2011年9月11日 (日)

「セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴」

★★★★☆。
 長篇というよりは中篇くらいの薄さ。シャーロック・ホームズの一篇を読んでいるような気になる。島田荘司というと長篇構想物というイメージがあるので、まあ小手調べ手なぐさみ程度のものかも。犯人探しも謎解きも底が浅いし。
 全体で一篇だとばかり思ってたら、よく見たら導入部のダイヤモンドの靴の由来の紹介部分が「シアルヴィ館のクリスマス」という別の小篇になっていて、本篇の表題作がその続編という形なのだった。島田はよくこういう導入部を書くから全体で一つながりでも問題ないのに、なんで分けたのだろう。しかも表題に読点がはいっているのが違和感あってまた謎なんだけど。
 それはともかく美紀ちゃんかわいいね。その孫をなんとか幸せにしてやりたいという郁恵おばあさんの気持ちが痛いほどよくわかる。女性嫌い?の御手洗が思わず一肌脱ぐことになったのもむべなるかな。美紀ちゃんにとってダイヤモンドの靴よりも、遊園地で遊んでもらったことの方が大切な思い出になっているのでは。まあストーリー的には星3つでもいいんだけど、ぼくはこういういたいけな女の子に弱いのでオマケ。なんか全然感想文になってないし(笑)。

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 今日のランニング。20.2 km/133 min。今月の累計距離 67.7 km。

2011年9月10日 (土)

対決実現

 宿命の対決なんていうのはオーバーでマスコミに乗せられすぎている。でも、マー君こと楽天田中と佑ちゃんこと日ハム斎藤の投げ合いといえば日本中が注目するのは間違いない。とうとう実現したんだね~。
 結果は4X-1で田中の勝ち。だけど両投手とも最後まで完投して本当に甲子園での投げ合いを彷彿とさせた。なんていってぼくは全然見てなかったのだけれど(笑)。まあ結果はそうだろうね。甲子園では斎藤が投げ勝ったけど、4年前にプロ入りしてからは田中がどんどん先へ行ってるのだから仕方がない。マー君が気合い入れて投げたら今の日ハム打線が打てるとは思えないし。それより佑ちゃんよく8回まで完投したよ。4点はとられたけれど3点差はワンチャンス逆転範囲だし、十分責任は果たしたと思う。見ていた大勢のファンはほんとに満足したろうな。最後まで投げさせた梨田監督もえらい。勝負ももちろん大切だけど、人の使い方をよく心得ていると思う。来年の去就が取り沙汰されているけれど惜しいなと思う。
 今日は龍虎相討つ勝負の序章に過ぎない。これからいくたの名勝負が繰り広げられるのかと思うと、わくわくするね。

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 今日のランニング。30.2 km/206 min。今月の累計距離 47.5 km。

2011年9月 9日 (金)

ベートーベンチクルス

 そうかチクルスってcyclesなんだと初めて知った。待ってました。尾高忠明による札響ベートーベンチクルスが今日開幕。これから12月まで第9特別演奏会のほか4回の定期で全9曲の交響曲が演奏される。今夜の第1回は1番と7番。
 ベートーベンの交響曲はさすがに全曲何回も聴いているので親しみがある。ここ2日ばかり睡眠不足が続いて疲労困憊の金曜日だったけれど、居眠りするどころではなかった。最初の1番は気のせいか音が若干合ってないように感じたのが、だんだんよくなって7番はさすがだった。この重機関車が息も継がずに疾駆するような圧倒的な迫力のフィナーレ。何度聴いても鳥肌が立つ。第9のフィナーレもすごいが、これはまさに双璧だろう。
 尾高のベートーベンチクルスは2002年に続いて2回目だ。もちろん前回もちゃんと聴いた。が、ぼくにとって札響のベートーベンシリーズといえば何といっても山田一雄のやつ。1989年4月の7番に始まって1991年5月の9番まで8曲を演奏してあと一歩というところで山田がその夏に急逝して未完におわった。札響定期がまだ厚生年金会館でやっていた頃だ。忘れられないのが3番エロイカの演奏。これがもう絶品。今でもありありと感動を思い出せる。雄渾勇壮でありながら妖艶。エロイカだからエロいか?といわれたって本来そんな曲ではないのだけれど、これが山田一雄の手にかかるとなんとも色っぽいんだよな。80近いじいさん(失礼)の振る棒とは信じがたい名演。ベートーベンの9曲の交響曲の中で、第9は別格としてこの3番をぼくが一番好きなのは、まぎれもなくこのときの演奏の影響だ。
 その大好きな3番は今回のチクルスでは次回10月の定期で演奏される。だがしかし。ちょうどその日は所用で高知に行くことになっているので、残念ながら聴くことができない。う~ん残念無念。

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2011年9月 8日 (木)

信号場制覇

 久しぶりの鉄ネタを。JR北海道でおもしろい企画旅行が催行される。10月10日に帯広発着で石勝線新得~新夕張間の全12信号場(新得側から順に西新得、広内、新狩勝、上落合、串内、ホロカ、滝ノ沢、東占冠、清風山、東オサワ、オサワ、楓)に停車する企画列車を走らせるのだそうだ。もちろん停車するだけで降りられないしドアが開かないのだけれど、キハ40を使用するので窓は開くとのこと。石勝線の山岳区間はほとんど駅がなくて信号場ばかりなので、特急でも時おり信号場で列車交換の運転停車をすることがある。ぼくも何度か経験あるけれど、さすがに全信号場での退避経験があるかというと記憶も記録もしていないし、まあないだろう。全線乗りつぶしがマイナーとはいえなくなってしまった現在では。全駅乗降などというとんでもないことやってる人もいるし、全信号場退避なんてコアな人だって中にはいるかもしれない。そうでなくても変人は多いので意外と人は集まるかもな。
 しかしどうせなら南千歳まで足を延ばして全線15信号場制覇をしてほしかったね。南千歳~追分間の駒里(信)、西早来(信)なんて地味で希少価値な気がする。ただ、この企画列車は新夕張からそっちではなく夕張方面へ足を延ばして三菱大夕張鉄道の保存車両やシューパロ湖に架かる旧森林鉄道の三弦橋を見学するのだそうで、それはそれでおもしろそう。貴重な文化遺産でもある三弦橋は近々新ダムで水没するのではなかったっけ。そう考えるとなかなか内容の濃い企画だなあ。帯広発着かあ。う~む。あ、いやぼくは参加しないよ(笑)。

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2011年9月 7日 (水)

「フィッシュストーリー」

★★★★☆。
 伊坂幸太郎は何冊目になるだろうか。これだけ読んでくるとああこういうものなんだなと、伊坂ワールドというべき世界がなじみ深く感じられる。黒澤のようなあちこちに登場する人物が複数の作品世界の一体感を醸しだしているというのもあるし、そうでなくても登場人物の思考、行動や会話あるいは地の文すらが類型的で似ているからだ。それがマイナスに働けばマンネリ単調でどれ読んでも同じとなりかねないが、そこは作者の腕でどの作品もそこそこ読ませてくれる。まあ好き嫌いがあるのかもしれないば、好きな人はどんどん読み進むけど嫌いな人は二度と手に取らないみたいな。
 この短編集に収録されている4作のうち、まずは表題作「フィッシュストーリー」。時間を前後させて、あああれはこうだったんだとあとで腑に落ちさせる手法は「ラッシュライフ」と同じ。さすがにこういうのはうまい。ぼくは個人的に瀬川さんが「砂漠」の西嶋に重なってうれしくてしようがない。最後の「ポテチ」もいい。実は重い題材なんだけどポテトチップスの味つけにことよせて軽く扱ってしまう。
 ひとつ不満をいえば、彼の後期作品に色濃くなっている人間の生き方に対するメッセージ性の希薄さだろうか。うまくいえないけれど、件の西嶋とか「魔王」とかね。単に軽妙で心地よい会話とテンポだけでない、思想性みたいなものが織り込まれているのが伊坂幸太郎の大きな魅力だと思うんだよね。

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2011年9月 6日 (火)

加賀谷はつみ「君がいる」

 北海道マラソン2011の番組テーマソングがこれ。元気いい曲で気にはなっていたのだけれど、なんて曲かわからなかったのが、いつも愛読しているOgamanさんのブログエントリで曲名が判明した。
 調べてみたらこの聞いたことのない加賀谷はつみなるシンガーはただ者ではない。Webニュースによれば今年2月から全国47都道府県を巡る路上ライブを沖縄からスタート。自主制作CDを100枚売らないと次の県へ移動できないというノルマを課してギター1本で歌い続け、8月26日に全都道府県を制覇して北海道にゴール。そして8月28日の北海道マラソンを迎える。その根性と歌唱力によって8月31日のメジャーデビューを勝ちとったという。すごい。あっぱれ。
 YouTubeでも聴けることがわかったけれど、ちゃんとした音源でフルコーラス聴きたい。さっそく買いに行きたいところだが、残念なのは今のところiTunesと着うたのネット配信のみでの発売なこと。iTunesStoreは手軽だけど、ぼくの携帯デバイスでは使い勝手の悪いiPod shuffleでしか聴けないのが大マイナス。いつもBlackBerryで音楽を聴いているぼくには意味ないのだ。著作権保護はわかるけど何とかならないもんかなあ。え、そんなマイナーな端末使うほうが悪いってか。よけいなお世話だ(笑)。でも残念だ。聴きたい。で、不便は承知でえいっとダウンロードしてしまった。
 それくらい魅力あるんだこの曲は。路上ライブの話などを知ると、この人が歌うからこそこの曲がいっそう輝くんだとよくわかる。元気出るよ。ぜひ聴いてください。

 ♪どんなに遠くたって
 ♪遅くたって前を向いて
 ♪あの大きな風のようにほら駆けよう
 ♪自分らしいスピードで
(加賀谷はつみ詞)

2011年9月 5日 (月)

英国王のスピーチ

 ちょっと間があいた週一映画鑑賞会。昨日のがこれ。さすがはアカデミー賞、感動した。何よりも大切なのは信頼そして自信だとわかる。うまくいくとはわかっていても、クライマックスのスピーチシーンはドキドキものだった。何の資格ももたないのに治療にあたったライオネル・ローグが実にいい味を出している。追い詰めない、だけど妥協しない、押したり引いたりの呼吸がすばらしい。国王といっても1人の人間には違いない。ドクターではなくとも、豊富な経験に培われた人間洞察と話術で少しずつ心を解きほぐしてゆく。
 そして驚いたのはこれが史実に基づいているということだ。現在のエリザベス女王の父にあたるのがこのジョージ6世という。あの可愛い姉妹の姉エリザベスが今の女王なんだ。つい60年ほど前の王室のこんな赤裸々な内実を映画として公開するなんてのは日本ではとうてい考えられない。治療の一環とはいえ、将来の国王が4文字スラング連発したりするシーンなどよくも許されたものだ。この懐の深さ。だけどこの映画をみて王室に対してより親近感と敬意をもつ人はいても、嫌悪感を抱く人はほとんどいないだろう。
 もうひとつ、要所要所での音楽の使い方。モーツァルトのフィガロ序曲からはじまってクラリネット協奏曲、ベートーベンの第7交響曲第2楽章とピアノ協奏曲「皇帝」の第2楽章、いずれもよく知られた名曲中の名曲だけど、ぴったりはまってうまい。そういえば、ちょうど1年前の昨日の朝に聴いてその感動をブログエントリ「祈り」に書いたのがこの「皇帝」の緩徐楽章だった。なんという偶然だろうとちょっと感激。

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2011年9月 4日 (日)

Part 2

 見る間に今年の夏も過ぎ去ってしまった。別に無為に過ごしたわけではなくそれなりにいろいろとイベントもあったのだけれど、もちろんやり残したことも多い。8月にはいったら手をつけようと考えていた「ビギナーズ有機化学」の書き直し原稿がその最大のものだ。編集者には年末までにお願いしますと言われているのでまだ間があるけれど、あと4ヶ月で全14章を書くのは考えてみると大変なことだ。10月にはいったら後期の授業も始まるし。
 有機化学の講義も新たに始まってそのひとつはこの教科書を使うので、授業の進み具合と並行して改訂作業をすれば効率いいような気もする。なら10月から手をつけるのでもいいかなどというのはもちろん冗談で、そんなことをしたら出来上がりが確実に年を越してしまう。こういう仕事は有機反応と一緒で始めてしまえば勢いでなんとかなるので、いかに執筆始めるだけの活性化エネルギーを高めるかがカギになる。いずれにしてもここがヤマ。
 教科書といえばボルハルト・ショアー「現代有機化学第6版」上巻の日本語版が出来上がって出版社から見本が送られてきた。前の第4版は2004年発行で、間の第5版は訳出されなかったのだそうだ。短期間に訳すのも大変だし、そもそも頻繁に改版しても売れるのかという判断でもあったのだろう(憶測だけど)。しかしこの原著改訂のエネルギーはすごいなあ。ぼくなんか11年ぶりの改訂版でひいひい言ってるというのに、えらい違いだ。

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 今日のランニング。17.3 km/111 min。今月の累計距離 17.3 km。

2011年9月 3日 (土)

「探偵倶楽部」

★★★☆☆。
 東野圭吾にしてもというべきか、ミステリ短篇は難しい。短い中に十分な意外性と説得力ある結末をもってくるのは至難の業だ。これもまあそれなりではあるけれど、それだけ。
 探偵倶楽部という上流階級専門の会員制組織の黒ずくめ男女ペアが、被害者の依頼に応じて事件の捜査をする。かといって、いわゆる名探偵の名推理というわけではなく、地道な調査で犯罪のボロをつつきだすという感じ。それぞれの短篇は、会社や家庭の人間関係のもつれによる狭い範囲での殺人事件なので、あっというトリックも意外性もあまりない。週刊誌にでも連載されて読み捨てるというか、その程度の物なのだろう。
 収録されている5編からひとつあげるとすると「探偵の使い方」かなあ。逆転の発想というか、なるほどと思わせる。しかも女はコワいと(笑)。

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2011年9月 2日 (金)

明日は今日より素晴らしい

 やっと金曜日。今週はなんか疲れたなとか思って、あれ...。前半夏休みだったじゃん(笑)。しかも日曜日はマラソン走ったのだった。あの北海道マラソンが遠い昔のことのように思える。そうか、マラソンの疲れが今頃出てきたのか。トシは争えない。明日は少し休むとしよう。
 昨日はきれいな夕月夜だったのに、一転今日は大雨。昼過ぎに徒歩15分ほどの高等教育推進機構での会議を終えて戻ろうと外へ出て唖然。叩きつけるようなものすごい雨。札幌の12時台の1時間雨量は22.5 mmと今日最大だったので、その一番激しい降りの中をとぼとぼと歩いていたわけだ。カサを差してもみごとにずぶ濡れ。まあこんな日もあるさ。
 最近、気に入っている三井住友銀行のテレビCM。こんな日に聴くとじーんと胸に沁みる。桑田佳祐の元歌は「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」。さすがの桑田バラード、泣かせてくれるよ。

 いまがどんなにやるせなくても
 明日は今日より素晴らしい
 月はいざよう秋の空
 ミスター・ムーンライト
 Come again, please

2011年9月 1日 (木)

月見

 今日は珍しい顔合わせの飲み会。その前に今夕は大事な月見だ。大学を出て歩いていく途中に、沈みかけた「三日月」がきれい。以前書いたように三日月は月齢2の月のことなので、今日の月齢3の月は正しくは四日月なのだけれど、月齢2というのは太陽に近すぎてよほど条件が良くなければ見にくいし、見えても本当に鎌のように細くていわゆる「三日月」の絵柄には必ずしも近くないので、ぼくの中では四日月あるいは五日月がいかにもなカッコつきの「三日月」ということになっている。一般的な印象もたぶんそうだろう、と講釈が長いこと。
 今週後半は悪天の予報で、実際昨日は曇り空、明日からは台風の影響で雨らしいのだけれど、神の配剤のように今日だけは抜けるような青空で日中は32℃という真夏並みの陽気だった。おかげであきらめかけていた「三日月」がビルの谷間にきれいに見えた。三日月はもとより「三日月」もうまくシチュエーションがそろわないとなかなかきれいには見られない。今日はまだしも幸運だったみたい。例によって足を止めて夕空を見上げる人はほとんどいないんだけど、願かけた数少ない人は願いがききとどけられるかもね(笑)。

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