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2012年3月19日 (月)

「玄い女神」

★★★☆☆。
 建築探偵桜井京介の事件簿第2作。本格物の雰囲気濃厚だった前作の空気をまだまだ漂わせているものの、インパクトとしては弱いかな。京介、蒼、深春の掛け合いが魅力でもあったのが、今回は深春が出てこないし京介もやや変調。その分蒼が活躍するという形になっている。
 10年前のインドで起きた変死事件の関係者が孤立した山荘に集められたところで起こる新たな密室殺人、というと舞台装置としては十分すぎるのだが、謎解きという点ではいまひとつ。この作者、雰囲気作りはうまいし探偵トリオの造型も魅力的に書かれているのだけれど、肝心のプロットが弱いのが欠点か。だから最初はおっと思っても続けて読むと物足りなく感じてくるのかも。多作で探偵役の魅力と話術だけで読ませる内容のない名ばかりミステリシリーズ物というのがよくあるが、そういう読み捨てリーといっては失礼にしても、さらに次作を読むかなという気になるかどうかが微妙。
 ひとつだけ、10年経ってすっかり面変わりした主人公狩野都と養子のナンディの謎だけが、前述のような十把一絡げの駄本に堕するのをかろうじて支えている。意外性は確かにあるけれど、もう少しこのあたりをメイントリックに据えて構成し直したらもっとよくなるんじゃないかなあ。

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