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2012年3月16日 (金)

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

★★★★★。
 シリーズ3作目。これはおもしろかった。ぼくとしては3作のうちの最上に推したい。最初の「チーム・バチスタの栄光」はほぼミステリ仕立ての謎解きの様相が濃かったのが、2作目の「ナイチンゲールの沈黙」へきて殺人事件は起こるもののミステリ小説性は薄くなり、本作になるとほとんどもうミステリではなくなってしまった。それで最上評価なのだから、ミステリ性とか謎解きとかばかりがエンターテインメントの要素ではないことがわかる。
 舞台は東城大学付属病院、主役として活躍するのはおなじみ田口講師、とくればもうそれだけで★4個は約束されたようなものだ。日常生活だけで十分楽しめる。とはいっても何事も事件が起こらなくては小説にはならないので、今回は救命救急センター速水部長の収賄事件が主題だ。といっても事件としては地味すぎるし、事実関係が明らかなので不思議要素はまるでない。
 読みどころは、倫理問題審査委員会とリスクマネジメント委員会のやりとりだろう。知らない人にはなんなんだそれは?だろうが、こればかりは読んでもらうしかない。丁々発止のやりとりがほんとにおもしろい。そして、なんといっても最後の大規模事故患者受け入れでのジェネラル・ルージュの再現シーン。ああ本書のタイトルはこれなのかと納得。速水部長がかっこよすぎる。
 本書の内容と「ナイチンゲールの沈黙」の内容は時系列的には病院内で同時進行しているので、両者に同じシーンが現われる。なので、あれこれは前に読んだようなというところが随所にある。2作を突き合わせてみてなるほどなるほどと読むおもしろさはあるものの、2作に分ける必然性があったのかという気がしないでもない。そういう関係なので、書評などで併読をすすめる意見もあるけれど、ぼくはそれほどは思わない。両者独立して読んでも十分だ。そして内容からは本作が数段上だと思う。
 ひとつ不満があるとすれば、花房師長の存在感が希薄なことだろうか。こんなに重要なキャラなのに。もうすこしエピソードを加えて肉付けしてほしかったな。如月はもちろん藤原看護師や猫田師長にすら存在感では負けているのがかわいそう。まあ結末がこれだからいいとするか(笑)。

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