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2012年4月26日 (木)

「モダンタイムス」

★★★★★。
 いやあ久々に読んだ伊坂幸太郎はまさに伊坂幸太郎満載だった。どこでも開いて2,3ページ読めば、あ伊坂幸太郎だとすぐわかる。この独特の話法というかひとり漫才というか自己客観視というか卓抜な比喩というか、全然うまくいえなくて知らない人にはちっとも通じないだろうけれど、伊坂ファンならああとすぐわかる特徴。あれだ。それだけでも十分読む価値はある。
 上下2冊のかなり長い長篇で、今より少し未来の話という想定。「魔王」に出てくる安藤兄弟(正確には弟と連れ合い)のその後の人生が重要なモチーフとして登場してくるので、そこからつながってるのかいとわかる。まさに伊坂ワールド。政治とは、社会とは、という問題提起も実はそこからつながっているのだ。表題にあるように、チャップリンが昔に風刺していた通りに歯車である個々の人間の思惑を超越してシステムとしての社会が成り立っている。最後はそういう結論でやや理屈っぽくしめくくられる。
 そこへ行きつくまでの荒唐無稽な設定や先が読めない場面展開は、サスペンスミステリとしても魅力十分。もとが漫画雑誌の連載だというからか、読者を飽きさせないで引っ張っていく仕掛けが張りめぐらされて中だるみしない。巧みな話術ともあいまって場面場面が実におもしろい。そして、事件隠蔽にありもしない設定をでっちあげる壮大な計画とか、検索キーワードの監視によって真実の露見を未然に防ぐ仕組みとか、実際にありそうで結構こわい。グーグルならできるんじゃねとか。しかしこの主人公夫婦の不思議な関係。佳代子の常軌を逸した怖さは最後まで種明かしされないので、本物なんだろうか。物語は終わったけれど渡辺君そんなのん気で大丈夫なのか(笑)。

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