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2012年7月24日 (火)

「イノセント・ゲリラの祝祭」

★★★★☆。
 海堂尊は5冊目かな。おなじみの昼行灯こと東城大不定愁訴外来担当田口公平講師が、なんと厚労省の委員会の委員となって霞が関で活躍するというお話。舞台が東城大病院ではないというところから、これまでの3作(チーム・バチスタナイチンゲールジェネラル・ルージュ)とは違っている。東城大関係者で登場するのは高階院長と放射線科の島津だけだ。あとは厚労省の委員会の出席者とそのやりとりばかり。厚労省といえばもう1人の主役たる白鳥圭輔なんたら室長のお膝元であるからして、必然的にこの二人を主軸として話がまわってゆく、んだけれどちょっと違うんだなそれが。
 本筋からそれるけど、厚労省の官僚と御用学者との提灯委員会。何か重要な施策を審議するのではなく、単なる帳尻合わせと自己保身のためだけのアリバイつくりの会議。これがまさに真に迫っていて笑えない。厚労省は知らないが、文科省から次から次へと出てくる現場を知らない愚にもつかない施策の数々と無駄な予算投入。大学がどれだけ振り回されていることか。こういう委員会ですべてなあなあでやってるんだろうなと思うとやりきれない。
 著者は医師でこの連作の主題であるAI推進論者だから、作品にもその思い入れがこもっているのだろう。後半の彦根新吾のワンマンショーがまさにそれだ。最後は白鳥がなんとか収めるんだけど、まあ彦根の活躍はまさに真打登場の圧巻といっていいだろう。ただし、それで唐突に物語が終わってしまうのが尻すぼみ。小説としては破綻しているといわざるをえない。投げやりで完結してない。言いたいこと言ったしもういいや感まる出し(笑)。もうちょっと丁寧に書いてよね、素材はいいんだから。

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