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2012年7月19日 (木)

「銀漢の賦」

★★★★★。
 直木賞受賞!と大きく帯に書いてあるのでついだまされたけど、これは受賞作ではなかった。紛らわしい。でもこういう宣伝の仕方はよくあるので、つまり受賞作はそれだけが優れているのではなく、それを書いた作家が受賞の栄誉を担ったということだからまあいいのかもね。というか、この本は当たりだった。読んでよかった
 久々の格調高い時代小説。こういうの少ないんだよなありそうでいて実は。藤沢周平とか山本周五郎の初期とか司馬遼太郎とか、似てはいるけれど、これらの文豪に共通する洒脱さが、本書には欠けている。その分生硬というかややぎこちないというか、いっそ初々しいというか。格調高いという表現を使ったのは中島敦の中国物に共通する匂いを感じたからだ。銀漢無聲轉玉盤。銀漢などという漢語や漢詩がいくつか出てくるところもそういう印象に与っているかな。
 源五、小弥太、十蔵、身分も運命も大きく異なる3人の男たちの友情と係わりあいの物語。そこに藩の運営と派閥争い、政治がからんでくる。いってみればありがちな筋立てだ。似たような小説はたくさんありそう。でも、この読後感の爽やかさ。凛とした瑞々しい筆致で手垢のついた古さを感じさせない。玲瓏にして清冽なる、という惹句は過大ではない。いいなあ。本当の2011年下期直木賞受賞作は「蜩ノ記」。これもぜひ読んでみようという気になる。

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