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2012年8月28日 (火)

「楊令伝」

★★★★☆。
 15巻完結。しかし長かった。ん~、なんだかなあ、この結末とも言えない結末は。前回は童貫が死んだところまで読んだんだけど、それからの物語は明らかに変調。梁山泊の志とはなんだったのか。戴宗ならずとも思ってしまう。「水滸伝」の英傑たちが命を賭して憧れ、守ったもの、替天行道。それは新しい国の姿、今でいえば民主主義国家、中国全土を民衆のために解放する壮大な夢だったのではないのか。中原に小さくまとまってひたすら交易による蓄財に腐心する新梁山泊からはその気概も理想もまったく見えてこない。楊令は何を目指していたのだろう。
 確かに梁山泊軍は精強だ。童貫亡きあとの宋が分裂して群雄割拠時代にはいっても、圧倒的な国力(国といえれば)で君臨する。でも、それがなんなんだ。将来的に目指すもの、そのために命を賭けるもの、それはどこにあるのか。それでいて、水滸伝時代からの仲間がどんどん倒れて行く。これでは犬死ではないか、と叫びたくなる。そして、当の楊令。強すぎて引っ込みがつかなくなった、というのはうがち過ぎだろうか。どこかで幕を引いて次の岳飛伝へバトンを渡さなければならないのに、どう考えても岳飛との対決では役者不足だ。「楊令伝」なんてタイトルにするからこんなことになる。水滸伝には絶対的英雄がいなかったので、梁山泊の崩壊とともに若き楊令が脱出するところで将来の夢へとつなぐことができた。その続編が続水滸伝ではなく楊令伝にしてしまったので、楊令を中心に据えざるを得なくなってしまった。存在感はあるし強い武将ではあるのだけれど、一方で経済官僚みたいでもあり今ひとつ絶対的なキャラとしてはあいまいなまま、最後にその存在を消し去るのに苦労する。
 かくして、あっと驚く結末が待ちかまえているというわけになった。全15巻の幕切れとしてはあまりに唐突で宙に放り出されたかのようだ。意外な結末という点では誰もが予想しなかった終結とはいえるだろうが、ミステリだったのかよこれは。当の岳飛が一番驚いているだろう。

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