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2012年8月 4日 (土)

「龍神の雨」

★★★★★。
 添木田蓮と楓の兄妹、溝田辰也と圭介の兄弟、それぞれに難しい家庭環境に育った少年少女たちが、ちょっとした行き違いから生じた殺意、そして実際の事件。それをめぐって二組の若者たちの人生が交錯する。と、じわじわと感じる違和感。物語はどんどん進んでゆくが、この作者がこんなにストレートな展開で終わらせるわけがない。どこかに仕掛けがあるはずだ。
 その通り。もう道尾秀介というだけで読み手は構えてしまう。恵まれない家庭環境で懸命に生きるそれぞれの兄弟たちの事件を巡っての接点。そこに何か見えていないミッシングリンクがあるのは容易に予想できる。雨に降りこめられてこれだけの少ない登場人物の中でその見えていないものは何か。その意外性が本作の生命線だろう。
 この作者にしては単純な構図だと思う。ああそうかいと読んで思う。出来すぎでわざとらしいという評があるのもうなづけなくはない。最後の結末も厳密に法に照らせばどうなんだろうかと疑問がないでもない。この景色、どこかで見たような。ああ、「重力ピエロ」の結末だ。ん~、まあでも許容だよなこれは。なので読後感は悪くない。それはともかく、最後の三つのラジオニュース。この含蓄はうますぎる。

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 今日のランニング。22.3 km/150 min。今月の累計距離 30.5 km。

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