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2012年9月15日 (土)

「仏果を得ず」

★★★★★。
 懲りずに読んでいる三浦しをん。「多田便利軒」はいただけなかったけれど、これはまた出色。評価しにくいなこの人、出来不出来が激しいというのでもないし、直木賞作だけがたまたま出来が悪かったのかな。というかたぶんぼくの読み方が悪いんだろう、客観的には。
 青春小説の傑作かどうかはともかく、スポ根ものならぬ芸根ものとしてすこぶるおもしろかった。文楽などというなじみのない世界を、読者に的確な説明を加えつつ、中で生きる若者の日常と苦労を生き生きと語る。笑いあり涙あり、まさに根性ものの王道だ。主人公の健はもとより、師匠の銀太夫、相方の兎一郎はじめ脇役がみんなすばらしい。ミラちゃんの可愛いこと。
 そして何よりすごいのは、文楽って面白そうだな、舞台見てみたいなと思わせる作者の筆力だ。それぞれの章立てになっている出し物の筋書きと、健が思い悩む登場人物の造型、心象表現が、切々と伝わってくる。「未来永々、無間堕獄の業を受くとも、だんないだんない大事ない。無間の鐘と観念す」。う~泣ける。それが作品に単なる根性ものに終わらない人生の厚みを加えている。

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 今日のランニング。20.3 km/136 min。今月の累計距離 93.9 km。

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