« ブラームスの1番 | トップページ | 末世 »

2012年12月15日 (土)

「光の帝国」

★★★★★。
 3冊目にしてこの作者の代表的シリーズであり多くの支持をえている常野物語登場。不思議な物語だった。常野という東北地方のある地域に出自をもつ異能者の集団。それが訳あって散り散りに暮らしている日常が連作短篇になっている。
 それぞれが独立した超常能力者たちの日常生活で引き起こすエピソードを読んでいくうちに、読み手のうちに常野という尋常ならざる一族のイメージがぼんやりと形作られて行き、それが中ほどに配置された「光の帝国」という表題作で炸裂する。ここで、すべての関係が明らかにはならないものの、彼らの負ってきた凄惨な歴史が明かされ、一気に物語は加速する。気がつけばそれぞれの短篇の登場人物は当然のことながらお互いに連関しており、それぞれの人生が綯い交ぜになりながら全体の大きな流れを構成しているのだなということがわかる。
 そして最終篇、「―そうだな、みさきは笛がとっても上手だったな」、というツル先生の述懐に読み手は胸がいっぱいになって涙する。もう常野物語のとりこになっている。もう一度書く。不思議な物語だ。常野一族のなんと不思議でそしてなんと魅力的な。けなげに生きる彼らの続篇が読みたい、と切に思う。

Img_3895
 今日のランニング。13.5 km/100 min。今月の累計距離 67.5 km。

« ブラームスの1番 | トップページ | 末世 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

無料ブログはココログ